マネージャーとメンバーの「ワンオンワン面談」を促進

 各種ツールを駆使することで、「ヨコ」の連携はスムーズに運んでいる。では、「タテ」の連携についてはどうなのだろうか。世間では、「テレワークを導入すると、上司は部下の働きぶりを見る機会が減り、適正な評価が難しくなる」という声も多い。下田氏にどんな工夫をしているかを伺った。

 「『ワンオンワン面談』を推進しています。マネジャーとメンバーが1対1で対話し、目標設定、能力開発、教育計画、キャリアプラン、360度評価などを行う機会を増やしています。制度を導入したことで、マネジャーがコミュニケーション強化の意識を高めてくれているんです」(下田氏)

私物は帰宅時にすべてロッカーにしまう
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 ワンオンワン面談は3カ月に1回。その他、進捗管理や評価、異動を含めたキャリアパスの話し合いなど、テーマ別に年1~2回行われている。トータルで1カ月に1度は何らかの面談の場があるようだ。

 前出の岸上さんも、マネジャーとして行うワンオンワン面談は年間50回にも及ぶ。

 「面談以外でも会話するシーンは意識的につくるようにしています。制度導入前はメンバーと常に同じ場所にいましたが、何となくの空気感で『頑張ってるな』『分かっているだろう』を判断していたことに気づきました。制度導入後、コミュニケーションの量・質を高める必要があるという緊張感を持った結果、より深く、正しくメンバーの状況や考えをつかもうとする意識が高まりましたね」(岸上さん)

 「メンバーとのコミュニケーションに対する意識・姿勢については、マネジャーによって温度差があるのが実情。様々な切り口でのメンバーとの面談、対話を増やすことを促進し、タテのコミュニケーションの質をより高めていくことが、今後の課題です」(下田さん)

(取材・文/青木典子)