40歳受精卵の8割に異常　出生前診断の精度は？

【確定的検査】

　腹部に長い針を刺して羊水を直接採取して調べる検査法で、導入から約40年の歴史がある。直接赤ちゃんの細胞を調べるので診断が確実。0.3％の割合で、流産や早産が起こる。染色体疾患全般に加え、遺伝子・生化学分析（脂肪酸から分かる病気など）ができる。
　費用の目安は12万～15万円程度（編集部調べ）。

　腹部に長い針を刺して、赤ちゃんの胎盤ができる前の絨毛を採取して調べる方法。絨毛検査には子宮の入口を経由する「経腟法」と羊水検査と同様に腹部から針を刺す「経腹法」がある。経腟法を用いた場合には流産率が約 1～3％と流産のリスクは羊水検査より高くなるが、 熟練者が行った場合の経腹法では羊水検査と大きな差はないとする報告もある。手技の習得が難しいため、現在日本では少数の施設でしか行われていない。分かる疾患は羊水検査と同様。羊水検査より早い週数で行うことができる。
　費用の目安は10万～20万円程度（編集部調べ）。

【非確定的検査】

　一般の産婦人科医による健康状態全般のチェックを目的とした、全妊婦が行う通常の超音波検査。妊娠初期では得られる情報が少ないが、胎児のNT（首の後ろの厚み）が偶発的に発見されることがある。
　費用の目安は1回5000～1万円程度（編集部調べ）。

　「日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会が発行するガイドラインでは、『NTは計測する必要はない』としています。また、国際認定資格を持ち、正確な計測が行える専門家も多くはありません。それにもかかわらず、妊娠検査で偶発的に染色体疾患の兆候が発見され、『NTが厚いので、染色体異常のリスクが高い』と医師から告知をされる人が出てしまっています。その場合は専門家に受診してNTを再計測し、確定的検査に進むかどうかについて相談することが勧められます」（河合さん）

　母体の血液中を流れる、赤ちゃん由来のたんぱく質やｈCGホルモンから、18・21トリソミー、開放性神経管奇形の可能性を算出するもの。35歳の平均リスクと比較して、それより高ければ「スクリーニング陽性」と判断される。
　費用の目安は1万～2万円程度（編集部調べ）。

　「検査費用が比較的安く、多くの産科施設で実施されているので、医師から詳しい説明を受けることもなく気軽に受ける人も多い検査。しかし、陽性的中率は低く、結果から分かる不確定な要素も大きいのが特徴です。30代後半以降で受ける人は、一般的な年齢リスクから『偽陽性』という結果が出ることも珍しくなく、結果をどう捉えたらよいのか混乱するケースも少なくありません」（河合さん）

　13・18・21トリソミーである可能性の判定と、精密な超音波検査。「胎児ドック」の名で実施されている病院もある。臨床遺伝専門医や胎児超音波を専門とする医師が検査を行うことが多く、その場で検査結果が出る。
　費用の目安は2万～5万円程度（編集部調べ）。

　妊娠初期の母体血清マーカーと超音波検査によるNTなど複数のマーカーの計測を組み合わせて判断する。日本では実施する施設は少ないが、アジアや欧米では主流の検査。
　費用の目安は3万～5万円程度（編集部調べ）。

　妊娠中の母体の血液中に流れる胎児由来の遺伝子を解析する、2013年から臨床研究が始まった高精度の検査法。13・18・21トリソミーが分かる。非確定的検査ではあるが陽性的中率が高く、偽陽性（疾患がないのに、陽性と出る）を減らすことで、羊水検査をできるだけ避けたい人には適した選択肢になる。
　費用の目安は20万円前後（編集部調べ※遺伝カウンセリング料は別途）。