親として知っておきたい、保育園の“あるべき姿”
栗並 当時は「自分が神経質すぎるのかな」「おおらかじゃない母親なんてかっこ悪いな」などと思っていましたし、何より「保育士さんはプロなのだから、その人達が大丈夫だということは大丈夫なんだろう。保育士さんを信頼しよう」と自分に言い聞かせていたんです。
栗並 保護者は玄関先までしか入りませんから、中の様子が全然分からなかったのです。0歳児にとって、1日の大半を過ごす部屋が変わることは大きな変化だと思うのですが、そういう意識が園側にはなかったのでしょうね。だから誰に聞いても「特に変わったことはありません」と言われてしまったのでしょう。そうしている間に事故が起きたわけです。
その後、数カ月かけて私達夫婦が聞き取り調査を行ったところ、「1・2歳児が室内を走り回っていて、保育士が落ち着いて0歳児の食事を見守れる状況になかったこと」が分かりました。また、同時に保育に関する法令などを勉強し、事故当時の保育環境について「児童一人あたりの部屋面積が、国が定める最低基準を下回る状態だったこと」を突き止めました。
栗並 今の園は何か疑問や不安に思うことがあって私が相談すると、必ず数日中に、園長・副園長などの責任ある立場の方が直接話をしてくれたり、担任の先生から回答がある場合にもその場限りの答えでなく、園長・副園長に相談するなどしたうえで話をしてくれたりします。小さな不安でも、放置されると不安に加えて不満も募りやすいですが、都度、きちんと返事をしてもらえるので園への信頼が増していきます。
例えば、離乳食一つとっても、栄養士さんが個別に話し合いをしてくれるのです。2つの園を経験したことで、「保育園は一園一園全く違う組織なのだ」ということが初めて分かりました。
また同じことが起きるかもしれない。それでも保育園に預け、働き続ける意味
栗並 今お世話になっている園も、決して確信を持って選んだわけではありません。長男を事故で亡くした私が、再び子どもを産み、保育園に預けて働くことに対しては、批判の声も聞こえてきました。私自身、「また同じことが起こるかもしれない」という不安もありました。入園してみて「いい園だった」と思ってはいますが、入園して実際に生活してみないとやはり確信は持てませんでした。
冷たい言い方かもしれませんが、初めて保育園に子どもを預ける保護者にとって「事前に園の質を見極める」というのは難しいと思います。