「保育園に預けたはいいけれど……」、心配する親達の声
最近、ささやかれている「保育の質」の低下という問題。ジャーナリストの小林さんは、2015年刊行の『ルポ 保育崩壊』(岩波新書)の中でこの問題を取り上げています。小林さんは、いつごろから保育園問題に注目してきたのでしょうか?
労働経済ジャーナリストの小林美希さん
小林さん(以下、敬称略) 私は保育士の労働問題という視点で、約10年前から保育園の問題を追ってきました。特に「保育の質」に注目し始めたのはここ数年です。
2013年に『ルポ 産ませない社会』(河出書房新社)を出したとき、妊娠解雇などで社会や地域とつながりを持つことができず、孤立する母親達の姿を目の当たりにしました。
ちょうどその年の3月、保育園の選定から外れた杉並区の母親達が路上に出て区役所を囲み、抗議デモをする“保育園一揆”あるいは“杉並母親の乱”と呼ばれた運動が起こり、ここから待機児童問題が世間的にも脚光を浴び始めたのです。
でも私が気になったのは、その先がどうなっているか。
職場のマタハラ問題や待機児童問題をかいくぐって保育園に預けたはいいけれど、「うちの子の園は大丈夫なのか」「『保育の質』はどうなんだろう」という疑問の声が母親達から聞こえてきたのです。そこから「保育園の内側を深掘りしていかなくては」と思うようになりました。
<次ページからの内容>
・ 「どの保育園に入るかでその子の一生が決まる」
・ 保育園の「保育の質」を低下させる2つの要因
・ 2000年の規制緩和が生んだ新たな問題
・ 儲からない保育ビジネスに企業が参入するわけ
・ 保育時間に習い事の要素を入れる保育園の本質とは?
次ページから読める内容
- 「どの保育園に入るかでその子の一生が決まる」
- 株式会社が保育業界に参入。「官から民へ」の影響が子どもに及んでいる
- 儲からない保育ビジネスに民間が参入するわけ
- 「質の良い保育」を実現するには、親の意識改革も大切
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