週4日、6時間勤務などが選べる「ショートタイム正社員」

 その中の代表的なものが、「ショートタイム正社員」という制度。正社員の身分のまま、週4日勤務などが選べるシステム。具体的には、週5日・6時間ずつ働くAコースと、週4日・6時間ずつ働くBコースがある。2016年4月現在、12人の女性がショートタイム正社員の制度を利用している。

 「結婚・出産後も仕事のペースを落としたくないと考え、ショートタイム正社員の制度がなくても、バリバリ働き続ける女性もたくさんいます。一方で、結婚や出産のタイミングで、退職するか迷う女性も一定数はいます。この制度がなければ、働き続けることができなかった社員の受け皿となり得るのです」(稲葉さん)

 店舗で働くフェイシャリストは専門職。長く経験を積み、スキルやお客さんとの信頼を築いた社員が辞めるのは会社にとっても痛手。「週4日なら」「6時間なら」働ける、という人をつなぎ留めることは、会社にとってもメリットが大きいという。

 ショートタイム正社員は、結婚や子育てのほか、介護を理由としても選択することができる。給与は働いた時間に応じて減るが、福利厚生などは普通の正社員と同様、利用できる。ただ店舗の正社員の場合、ショートタイム正社員を選ぶと職種が少し変わる。お客さん対応から営業、販売まですべて担当する「フェイシャリスト」という職から、既存のお客さんのアフターサービス(肌チェックやカウンセリング、フェイシャルケア)を中心とする業務を担当することになる。それでも、また通常勤務に戻ったときはフェイシャリストになることもでき、子どもを産むとキャリアから転落するマミートラックにはまらないよう、配慮されている。

本社で働くママ社員
本社で働くママ社員