赤ちゃんを授かるための手段、セックス。「それも家庭で教えるの!?」「自分のときは何となく、雑誌やテレビで知ったから教え方が分からない」という人もいるかもしれません。でもやはり、知っていることで防げることがあるという観点からすると、家庭で教えておくことは将来的なリスクを減らすことにもなりますし、子どもの信頼感にもつながります。

 夫婦間でもなかなか話しづらい「子どもの性教育」をテーマにお届けする「男の子、女の子の性教育」特集第5回は、ずばり「セックスについて」です。長年“保健室の先生”として多くの子ども達と接してきた“人間と性”教育研究所所長の金子由美子さん、NPO法人ぷれいす東京理事で日本性教育協会副委員長も務める池上千寿子さん、一般財団法人ベビー&バースフレンドリー財団・公益社団法人誕生学協会代表理事他を務めるバースコーディネーターの大葉ナナコさんに、本当に伝えるべきセックスの基礎知識や親の心構えについて聞きました。

【男の子の性教育、女の子の性教育 特集】
第1回 朝立ちや自慰 子どもの性の芽生えに親はどうする?
第2回 家庭での性教育は、何歳から、何を教えたらいい?
第3回 小さい男の子、頻繁におちんちんを触るのどうする?
第4回 初潮はお祝いムード、精通はスルーではおかしい
第5回 小さな女の子に教えたい、性犯罪対策と性教育 ←今回はココ
第6回 河相我聞、高橋ゆき 性について子に伝えた大事なこと

『ダーウィンが来た!』に生き物の“恋の季節”が出てきたら、チャンス到来!

 「赤ちゃんはどこからきたの?」という質問に対する答えについては、「小さい男の子、頻繁におちんちんを触るのどうする?」でも紹介しましたが、では赤ちゃんを授かるための手段、セックスについてはいつ、どのように伝えればいいでしょう。

 もちろん何の前触れもなく「さあ今から、セックスについて語ろう!」などと無理に機会をつくる必要はありません。バースコーディネーターの大葉ナナコさんは「長男が5歳のときに“ママ、見て~! カブトムシが赤ちゃんづくりをしているよ~”とニコニコしながら教えてくれました。もうそのときは“来た!チャンス!!”とばかりに、交尾について話をしました」と言います。

 そう、飼っている昆虫や動物、あるいは動物園で偶然、動物が交尾を始めたら「そのうち分かる」などと逃げずに子どもとセックスについて語る大チャンスと思って話をするといいのです! ただそんなに都合よく交尾シーンに出合えるわけでもなく、きっかけづくりの一つとしては、読者アンケートの声でも挙がっていたように世界中の生き物達の世界をじっくり密着取材したテレビ番組『ダーウィンが来た! 生きもの新伝説』(NHK総合/日曜19:30~19:58、再放送火曜16:20~16:48)がおすすめ。生き物の命をつなぐ「交尾」「恋(愛)の季節」についての描写や解説がごくさりげなく扱われています。子どもが「“こいのきせつ”って何?」と疑問を持ったときが、伝え時。

 「小さいうちほど純粋に教えやすいので、動物についての様々な知識の一つとして交尾をきっかけに話をしてみましょう」(大葉さん)

 またタイミングを逃していたというご家庭でも、年齢に関わりなく、テレビや本は良いきっかけになりますし、あるいは子どものほうから具体的に「セックスってなに?」と聞いてきたときでも構わないといいます。

【次のページからの内容】
・子に伝える前に大人も知っておきたい、性の科学とメカニズム
・人類の歴史は愛とセックスの積み重ねでつながってきた
・セックスの早期教育は、“寝た子を起こす”危険なものではない
・「性教育」と「性犯罪対策」は別物! 知識の入口こそ恥ずかしがらずに、さらりとポジティブに