「子どもがオナニーをしているところを目撃!」「娘の月経が始まった!」など、第二次性徴期まで、子どもが性に関心を持ったときや性徴が見られたとき、親はどう対応したらいいでしょうか。

 夫婦間でもなかなか話しづらい「子どもの性教育」をテーマにお届けする「男の子、女の子の性教育」特集第4弾。今回は、読者アンケートや編集部員、ライターから寄せられた体験談を基に、第二次性徴期前後(小学校中学年から)のお子さんを持つ人に多い悩みを例に、長年“保健室の先生”として多くの子ども達と接してきた“人間と性”教育研究所所長の金子由美子さん、NPO法人ぷれいす東京理事で日本性教育協会副委員長も務める池上千寿子さんに親として知っておきたい基礎知識や対処法を教えてもらいました。

【男の子の性教育、女の子の性教育 特集】
第1回 朝立ちや自慰 子どもの性の芽生えに親はどうする?
第2回 家庭での性教育は、何歳から、何を教えたらいい?
第3回 小さい男の子、頻繁におちんちんを触るのどうする?
第4回 初潮はお祝いムード、精通はスルーではおかしい ←今回はココ
第5回 小さな女の子に教えたい、性犯罪対策と性教育
第6回 河相我聞、高橋ゆき 性について子に伝えた大事なこと

月経は喜ばしいこと。初潮がきたら「毎月、大変ね」はNG

 ひと昔前は女子が初潮(女性の初めて月経)を迎えると、赤飯を炊いてお祝いをしていました。赤飯を炊くことには「邪気を払う」「栄養を取る」など諸説あるようですが、祝うのは「子孫を残す能力がついた」からという理由が大きそうです。

初潮のお祝いに赤飯を炊く由来には「邪気を払う」「栄養を取る」など諸説あります 
初潮のお祝いに赤飯を炊く由来には「邪気を払う」「栄養を取る」など諸説あります 

 初潮のお祝いに関しては、「ケーキを買ってきた」「おすしを食べに行った」と家族皆でするのか、「父親に知られたくない」「男きょうだいに知られたくない」などの理由で、母親と娘だけでそっと情報を共有するだけがいいのか、意見が分かれるところです。

 “人間と性”教育研究所所長などを務める金子由美子さんによれば、本来は「“赤ちゃんを産む体の準備”が始まったということは、とてもうれしいことのはず。少なくとも“毎月大変よ~! 面倒ね!”などと否定的なことは言わないように」と言います。月経を嫌がるようになると、その後の生育に影響が出てきかねないので、あくまでも月経は喜ばしいこととして、子どもと一緒に喜ぶ姿勢でいたほうがいいのです。

 また女性の皆さんはよくご存じの通り、月経は健康のバロメーターの一つでもあります。周期が不安定な人もいれば、10代のうちから規則正しくとはなかなかいかないものです。

 「20歳ごろには安定するということを教えてあげてください。ただ、生理がこない月があったら“すぐに教えてね。もしかしたら健康に問題があるというサインかもしれないから”と伝えるといいと思います」とアドバイスする金子さん。

女子の初潮の平均開始年齢より、男子の精通平均は1~2年遅め

 ちなみに、大阪大学大学院人間科学研究科・比較発達心理学研究室による「発達加速現象の研究-第12回全国初潮調査結果-(平成23年2月第13回全国初潮調査資料)」によれば、2008年時点で平均初潮開始年齢は12歳2~3カ月。女子の体が変化する時期に対して、男子の精通(男性が初めて射精すること)は約1~2年遅めなのだと言います。でもこの精通について、特に母親はいつ始まるのか、どう対応するのか全く想像がつかないということも多いのでは?

【次のページからの内容】
・初潮も精通も、本来は「親になる体の準備」のしるし
・第二次性徴期前後に読みたいおすすめ参考図書
・10歳の息子のオナニー現場を目撃 子どもの自慰と親の心得
・こんなときどうする? 専門家がお悩みにズバリ回答!