一目で分かる、年少クラスとの体格差

 しかし、年長のきく組のクラスに移動してその考えは変わった。数名ずつのグループに分かれて算数の授業を受けている子ども達の体形が、明らかにあやめ組の子ども達より大きいのだ。中には頭一つ分大きく、ひょっとして一つ上の学年ではないかと思わせる子もいる。

子ども達が主体的に学習できるように、グループ形式の授業も多く取り入れている
子ども達が主体的に学習できるように、グループ形式の授業も多く取り入れている

 きく組には、年度が始まってまもなく7歳の誕生日を迎える子が半数近くいるという。統計によると、7歳男子の平均身長は119.6cm。一方、あやめ組の3月生まれの子が6歳3カ月くらいと考えると、平均115.0cm(厚生労働省による乳幼児身体発育調査2000年)。実際に5cm近い身長差があってもおかしくはないのだ。手を挙げてハキハキと答える声も、心なしかあやめ組よりもはっきり大きく聞こえる。

 教室を見回すと、最近描かれたという絵が壁に沿って張り出されていた。絵は大人でも得意不得意があるが、きく組の絵には描写の細かさ、タッチの強さなどが平均して現れている感じがする。一方で、あやめ組の教室に飾られていた絵は、どことなく子どもらしい愛らしさが残る。

 「2クラスの違いは、画力以外の部分にも現れていると感じます」。あやめ組の担任で、昨年は年長クラスを担当していたという小川浩輝先生は、それぞれのクラスの違いについてこう話す。

 「僕が担当する国語の授業で、絵を見てそれに沿った文章を書くという時間を時々取り入れています。2つのクラスを受け持った経験でいうと、年少クラスには指示したことをもう一度確認したがる子や、慎重になりすぎてなかなか取り組めない子が少なくありません。それに対し、年長クラスは積極的で、失敗にも臆さずに書き始める子が大半です」(小川先生)

 それは、絵と同様に文章の得意不得意という個人差ではないのだろうか。

 「もちろん個人差はあります。ですが、指示を待ってしまうのは、飲み込みに時間がかかっているということ。先生の指示はこれで本当に合っているのか、という不安が年少クラス全体から感じられます」(小川先生)