睡眠も排せつも。保育園児はリズムが大事

A 例を挙げると、疲れているのか月曜日は機嫌が悪くなりやすい、お尻が真っ赤になっている、などでしょうか。お尻に関しては、土日にお出かけしてオムツ替えのタイミングが少なかったのかなと考えたりします。保育園はお昼寝の前や食事の後など、一日の流れに沿って、排せつをしていなくても定期的にオムツ替えをしていますので。

―― なるほど、親としては耳が痛いお話です(笑)。

A いえいえ、土日くらいはいろんな所にお出かけして、お子さんと楽しく過ごしたいという親御さんの気持ちも分かりますから。

―― ちょうど今、オムツ替えの話が出たので、今度は発達の差、特にトイレトレーニングについて伺いたいと思います。こんな質問がありました。「1歳児クラスに入園した直後に、クラス担任から『今年の目標はトイレに慣れること』と聞いて焦っている。まだ1歳になったばかりだが、生まれ月の早い子に合わせてオムツを外すよう、親も努力しなければならないのか」。お二人のご意見を伺えますか。

A どの程度を目標にしているのかによりますよね。親御さんが不安を覚えるのは分かりますが、基本的に目標はあくまで目標。結果には個人差があっていいと思いますよ。

B 排せつは勉強や習慣のように教えてできるものではないですしね。うちの園では、1歳児にはお昼寝から起きたときだけはトイレに座ろうねと声がけをしています。でも、嫌がられたら無理強いはさせません。楽しくトイレに行って、出たらラッキーという感じでしょうか。

A 逆に、生まれ月が早くておしゃべりが得意な子なのに、排せつのタイミングを教えてくれないことを悩まれている親御さんもいます。お子さんに直接「しゃべれるんだから、おしっこくらい言えるようになって」と声をかけているのを見かけたこともあります。

B そういう現場に出合ったら、「お母さんダメです、それ、プレッシャーです」って伝えていますよ。排せつのタイミングは個人差がありますし、オムツはいつかは必ず外れるんです。だからトイレが年間目標だという話も「トイレってこういうところなんだ」と子どもが慣れるための設定と思って、あまり焦らなくてもよいのではないでしょうか

月齢も年齢も違う子が混じり合うのが、保育園の良いところ

―― クラスの目標と言われると、学年で区切って考えなくてはいけないのか、と焦る親御さんもいるかもしれませんね。

B あえて目標を立てなくても、早生まれの子には常にクラスにお手本が存在しています。4月生まれの○○ちゃんがやっていたことを6月生まれの○○ちゃんがまねをしてできるようになって、次はもっと月齢が下の子が……と、どんどん繰り返されて、やがて早生まれの子ができるタイミングが巡ってくる。早生まれの子にとっては、毎日が刺激の連続なのではないでしょうか。

A 早生まれの子はすごいですよ。おもちゃの使い方も、周りの様子を見て自然に覚えていくんです。朝と夕方に異年齢での合同保育を取り入れている園は多いかと思いますが、そのときに上のクラスの子から刺激を受けることもあるかもしれません。

―― 月齢どころか、年齢も混じり合うのですね。

A 保育園の良さって、そういうところじゃないでしょうか。小さな社会が園の中で出来上がっていると思います。上のクラスの子達はすごく優しくしてくれるのに、1歳児のほうがやんちゃでお兄さんのおもちゃを取ってしまって、怒るに怒れない上のクラスの子が泣きべそをかいていることも(笑)。でも、基本的には仲良く遊んでいます。

―― 子ども同士、コミュニケーションが取れているんですね。「早生まれでしゃべれない分、手が出てしまう、あるいは出されてしまうのでは」といった点を心配されている親御さんもいましたが、そういったことはあまりないのでしょうか。

A ある一定の時期に限っていえば、あるかもしれません。

―― 一定の時期というと、どのくらいの間でしょうか。