団体任せだけではない、家庭での交流も活動の一端

 ここでの「ボーイスカウト」とは団体の総称で、その中身は年齢ごとに5つの部門に分かれています。実際にボーイスカウトと呼ばれる年齢は、小学校6年生の4月から中学校3年生の3月まで。それ以上は年齢ごとにベンチャースカウト、ローバースカウトとなり、逆にそれより小さい子どもは小学校就学前の1月から入団できる「ビーバースカウト」、小学校3年の4月から入団できる「カブスカウト」という部門に入ることになります。

 ボーイスカウト以上が子どもだけで色々な活動をするのに対し、カブスカウト以下は必ず大人の指導者が同伴するなどの違いがあります。ただし、基本的な教育方針は同じ。石井さんいわく、「ボーイスカウトに参加する子どもの多くが、ビーバースカウトやカブスカウトの頃から入団している」。では、実際に入団するにあたっての費用や活動頻度はどのようになっているのでしょうか。

「まず、費用はボーイスカウト連盟への年間登録料が3500円。それ以外は所属する地域の団体によって様々ですが、どこもなるべく必要最低限の料金になるようにしています」

「活動頻度も地域によって差がありますが、ビーバースカウトやカブスカウトで推奨しているのは月に2回の活動と、ボーイスカウトでは夏に1週間以上のキャンプをすること。1週間のキャンプは長いように感じますが、期間が長ければ長いほど子どもが困る機会も増えていきますよね。この『困る』ということが重要なんです。そういう時こそ技術を改良したり、仲間と協力したりするチャンスになりますから」

小学校就学前の1月から入団できるビーバースカウト。「なかよし」をモットーに掲げ、親子で参加するイベントも多い(©ボーイスカウト日本連盟)
小学校就学前の1月から入団できるビーバースカウト。「なかよし」をモットーに掲げ、親子で参加するイベントも多い(©ボーイスカウト日本連盟)

 1週間という長期のキャンプは、家庭や学校ではなかなか難しいもの。ボーイスカウトであれば、親が忙しくても存分に自然の中でキャンプを体験させてあげることができます。

 一方で、小学校就学前の1月から入団できるビーバースカウト、小学校3年生の4月から入団できるカブスカウトでは、「家庭とのつながりにも重きを置いている」といいます。

「ボーイスカウトには料理や船の操作など、子どもが技能を習得することでもらえるバッジがあります。通常は指導者がチェックしてバッジを発行するのですが、カブスカウトでは親が子どもの技能をチェックしてもらえるバッジがあるんです。この技能のチェックがあることで、普段は忙しいお父さんやお母さんでも子どもと日々の活動について会話をしたり、コミュニケーションする機会ができますよ」

 家庭では限界がある野外活動の場を設けつつ、技能チェックによって家庭でのコミュニケーションも創出できるのがボーイスカウトといえそうです。