待機児童が激増する中、認可外保育所の問題の当事者は増える

Aさん 認可外保育所に通う子どもは、認可保育所に通う子どもの10分の1と少ないです。それなのに、死亡事故の7割は認可外保育所で起きています。認可外は基準が緩いだけでなく、重大事故の報告義務もなく加入している保険にも大きな差があります。

寺町 これまで多くの保護者は、保育事故の報道を見ても「認可外だから自分は関係ない」と思っていたのではないでしょうか。でも、待機児童が激増する中、認可外保育所にわが子を預ける可能性が増えています。多くの保護者にとって「関係ない」とは言えない状況になってきているのです。

Aさん 私の場合、地元の認可保育園は6園申し込んで落ちてしまいました。認可外もいくつも当たってダメでした。

 キッズスクウェア日本橋室町のことを知ったのは、勤務先のビルの1Fに入っていたためです。認可はダメだったけれど、ここなら通勤時間も子どもと一緒にいられると思いました。それがこんなことになって、本当にやるせないです。保育園を増やせないなら、せめて最長3年間、育休を取れるようにしてほしい、と思います。そうしたら、無理に預けて子どもを死なせることもなかったのに、と。

寺町 国や自治体は、これまで認可外には認可基準を満たさないから補助金を出さないため、ノータッチという姿勢でした。でも、認可に入れるかどうかは、子どもには一切関係がありません。あくまでも運や親の就労形態、地域差などで決まってしまいます。保育事故で亡くなったお子さん達は、そういう大人が作った仕組みの犠牲になっている。大人はその仕組みを変えなくてはいけません。

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 今回の事故は、国の定めた保育士の配置基準を上回る園で起きた、という事実を重視すべきでしょう。そもそも、1歳児6人を先生1人で見るという国の最低基準自体が危ないのかもしれません。今、目にする政府の待機児童対策の中には、先生の配置や面積基準を緩和することも含まれています。より狭い場所に子どもを詰め込み、より多くの子どもを少ない先生で見るようになったら、事故は多発するでしょう。

 Aさんと寺町弁護士が中心となり「赤ちゃんの急死を考える会」は「保育園で亡くなる子どもを1人も出さないために、しっかり事故検証できるよう、認可外保育施設も日本スポーツ振興センターの無過失保険に加入させてください!」という趣旨で署名を集めています。署名ページの冒頭の写真は、いずれも保育施設に預けられている間に亡くなった子ども達です。https://goo.gl/XnhWTW