民営化で保育サービスが低下している?

 保育士不足を招いている要因は一概にどれとは特定できないが、保育園の運営状況が関わっていることは間違いないだろう。

 子どもが通う保育園やこども園、幼稚園などについて、「園の運営に対して不安に感じることがあるか」どうかという質問には、「ある」「ややある」を合わせて50.8%が何らかの不安を感じていることが分かる。

 複数回答で答えてもらった要因としては「保育士が頻繁に入れ替わる」(84人)、「新卒や経験の浅い若い保育士が多い」(94人)、「保育士の間で、子どもの様子についてなど情報が共有されていない」(54人)、「担当保育士が固定していないため、子どもの名前をなかなか覚えてもらえない」(11人)、「連絡帳がない、またはあっても園からの記入がない」(27人)、「排便時しかおむつを替えてもらえないなど、おむつ替えの回数が極端に少ない」(18人)、「園庭がない、または小さいので公園に連れていってもらいたいが、頻繁に行っていない」(36人)など、保育士不足の要因と同様の状況がある。

 「男性保育士がいない」「毎年3割が退職。特に男性スタッフは結婚を機に家族を養えないと辞めていく。全国規模で運営されている、見た目は華やかな認可保育園なのに」というスタッフの配置、保育士の給与への不信感も。「先生方が疲れている」「保育士に笑顔がない」のが気になるという回答も多く見られた。

 また「経営者(理事長)が替わったら、保育サービスが低下したように思う」「数年後に民営化され、先生が全員入れ替わることが不安」「民間運営にシフトしようとしているので、給食事務の方などが民間企業にごっそり替わっている」「民間運営なので、経営の効率化を優先されてるんじゃないかという漠然とした不安。事務担当の事務能力のなさ」という、保育園の増設や民営化による新たな問題を感じさせる回答も見られた。

 もちろん保護者として、不安をそのままにしていたわけではなく、不安を感じると答えた227人のうち4割近くの人が改善してもらうため、「担任や他の保育士に口頭で相談」「連絡帳に書いて提出」「園長など責任者に相談」「自治体の窓口に相談」「保護者会で訴えた」「第三者委員会に連絡」などの行動をとっている。改善された割合は「改善された」「やや改善された」を合わせても25%にとどまり、「改善がみられないため退園した(もしくは転園した)」というケースもあるが、それでも行動を起こすことで結果が得られているケースがあるのは見逃せないだろう。