保育士不足を感じる保護者が5割近く

 ここからは、保護者が見た保育士の現状を見ていこう。

 保育士不足が叫ばれる中ではあるが、本当に保育士は足りていないのだろうか?

 「子どもが通う保育施設での保育士不足」は、「かなり感じる」「やや感じる」と答えた人の合計が44.1%となり、これは「あまり感じない」「全く感じない」を合わせた39.3%より多く、半数近くが何らかの不足を感じていることが分かる。

 不足している半面、退職が多いことも明らかになっており、「今春の保育士の退職傾向」は、「かなり目立った」「やや目立った」の合計が38.5%となっている。比較すれば「目立たなかった」という意見より少ないが、4割近くが保育士の退職を目の当たりにしているというのは、少ないとはいえないだろう。

 実際に保育士不足に関して「具体的にどんな場面で感じるか」を尋ねたところ、197人の方から回答が得られ、保育士の退職を経験しているというものはやはり多かった。なかには「毎年担任の先生が辞めていく」「最大14人受け入れ可能のところ、年度末で10人未満のクラスがある」「年度中に来なくなってしまう保育士が出た」「定員99人の保育園ながらほとんどの保育士が順に退職し、一時4人に。子どものクラスは担任3人だが、1年で6人担任が辞めた」など、慢性的に保育士が退職していく保育園も目立つ。

 また「大きな老舗認可私立保育園だが、毎年半分以上先生が辞め、皆、他の保育園に移っていくため、定着率が恐ろしく低い」「毎年複数の園を新規開設している企業グループの園のため、園長先生が毎年交代、退職者も多く、特に若い男性保育士がすぐに辞めていく。保育士も正規職員は全員新卒か若い先生(園長先生が30歳の若い方だったことも)」など、保育士が定着していない様子もうかがえる。「常に人員を募集している」という意見も多かった。「江東区の認可保育園に通わせているが、お子さんの保育園が決まらず育児休業から復職できない保育士さんがいる」という、保育士自身が待機児童問題に直面している現状もある。

 次ページでは保育士不足を感じる場面について、具体的に寄せられた回答から見てみよう。