全盲で司法試験に合格した日本で3人目の弁護士、大胡田誠さん。半生を綴った著書『全盲の僕が弁護士になった理由』(日経BP社)は松坂桃李主演でドラマ化され、オンデマンド放送でも人気を博しています。離婚、相続、交通事故、借金問題などのトラブルを解決する「町医者のような弁護士」(大胡田さん談)として活躍しながら、プライベートでは全盲の声楽家である妻の亜矢子さんとともに、2人の子ども達の育児に奮闘中です。

亜矢子さんの両親のサポートを受けながら仕事と育児を両立する、DUALな大胡田夫妻。前のインタビューから1年半を経て、再び大胡田家にお邪魔しました。前編では、子ども達がそれぞれ5歳、4歳になり成長したご一家の近況と、4月から施行となった「障害者差別解消法」(「障害を理由とする差別の 解消の推進に関する法律」)について伺いました。

実家・静岡県からお手伝いに来てくれるスーパーじいじ&ばあば

右から、弁護士の大胡田誠さん、声楽家の亜矢子さん、響くん
右から、弁護士の大胡田誠さん、声楽家の亜矢子さん、響くん

日経DUAL編集部 前回のインタビューを行ったのは2014年の年末でした。大胡田家にはこの1年半でどのような変化がありましたか? 長女のこころちゃんは5歳、長男の響(ひびき)くんは4歳になられましたね。

大胡田誠さん(以下、誠さん) 私は現在、離婚訴訟、交通事故に遭ってしまった被害者から加害者への損害賠償請求などの仕事が多いですね。それから「障害者差別解消法」(「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」)の施行を受けて、講演も週1本くらいのペースで入っています。

亜矢子さん 私のほうは、声楽家の仕事と並行して、結婚前から関わっている「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」(グループで完全に光を遮断した空間に入り、視覚障がい者のアテンドで中を探検するソーシャルエンターテインメント)の仕事に行っています。

―― 亜矢子さんのお母さんが引き続き半同居して、子育てや家事をサポートしてくださっているのですね。

誠さん 僕の帰宅が22時くらいになってしまうので、母の半同居は本当にありがたいです。保育園のイベントがあるときなどは、静岡県からお義父さんも来てくれます。

亜矢子さん 父は、本当にパワフルなんです。わが家の子ども達を連れて朝出かけていったと思ったら、夕方まで戻ってこなくて。後で聞いたら「公園を4つハシゴしてきた!」とか(笑)。