私、子育てしてきてやっと「人の言うことを聞ける」ようになったんだな

 それにしても今回、10年ぶりにアルバムを作って思ったのは、「私、人の言うことを聞けるようになったんだな」ということでした。

 前はね、正直、全然聞かなかったんですよ(笑)。いただくご意見はありがたいと思いながらも、どこかで「うるさいなぁ」なんて思っていましたから。「聞く耳なんか持つか!」とも思っていて。20代のころは、いかに自分の主張を間違いなく主張するか、ということに必死だったんでしょうね。

 それがだんだん「もし自分がちょっといい方向に変われるなら、人の言うことを聞いてみようかな」っていうふうになって。聞くだけ聞いて、ダメだったり、やっぱり合わないなって思ったりしたらやめればいいだけなんだからって。

 そう思えるようになったのはやっぱり、子どもができて、子育てして、私も人間として成長したからなんだろうなと思います。お母さんになったりとか、伊達に年をとっていないってコトなんだろうなーって。この10年の間にあまりにレコーディングシステムが変わっていて、誰かに聞かないと分からないという現実的な面もあったけれど……。

 もちろん、こう思えるようになったのは、「自分が思ったことしか信じない!」とか、「誰の言うことも聞かない!」みたいなとんがった時期があったからこそ、「それだけじゃもったいないな」と気づけたんだと思います。だから、聞く耳持たなかったころの自分を後悔はしていません。若いときから「全部人の言う通りにしまーす」っていうのも、それはそれでダメだとも思うし。だから、もし子どもたちが、私の言うことを聞かなくなっても……あっ、一人は既に聞く耳を持ってないけれど(笑)……、それはそれで、そっと見守っておく必要があるのかなーなんて思っています。

(ライター/松田亜子、撮影/稲垣純也)