結婚前の10年間迷惑を掛けたから、今は“恩返しの時期”
―― 奥様はきっと仕事も家のこともサクサクできてしまう方なのでしょうね。あばれる君は仕事に集中できる環境なのでしょうか?
あばれる君 そうですね。でも、僕は仕事だけではなく家のこともちゃんとやる父親になりたいですね。うちの奥さんは看護師という仕事に誇りも持っていますし、働くのが好きだと思うんです。でも、二人で働いているんだから、お互いにある程度、余裕持っていこう、というスタンスですね。二人でギチギチ「仕事! 仕事!」となるのではなく。
奥さんは本当に家でも優しい人間です。疲れも見せずに、ちゃんと僕の話を聞いてくれますしね。僕から言わせてもらえれば完璧ですよ。僕みたいな人間にとっては、非の打ちどころのない人間です。僕は20代からパチンコとかいっぱい行っていましたしね。バイトの給料は自分のために使っていましたし。奥さんは僕のために使ってくれたりしました。僕は恥ずかしながら、自分のことしか考えていませんでした。あのときの自分を叱ってやりたいですね。だから今は恩返しの時期。「あのとき迷惑掛けたから今頑張ろう」という思いが、今の働く原動力になっていると言っても過言ではありません。
―― 「迷惑を掛けた」とおっしゃるのは通算して何年くらいのことですか?
あばれる君 結婚するまでの10年間、ですね。
―― かなり長かったんですね!(笑)
あばれる君 奥さんからは「あなたがやっていることはおかしい。あなたは変わっているんだよ」と言われました。でも、当の本人はそれに気づかないんです。「何が?」「何で?」「やることやってるんだよ、こっちは」って。自分なりにお笑いに向けて全力を注いでいるわけですから。「ネタ見せ(お笑いのオーディション)に行くお金が無かったら、奥さんが集めているCDも売るでしょう?」って。
―― CDを売ってしまったんですね。
あばれる君 あ、でも、奥さんの財布からお金を取ったことは一度もありませんよ。「お金をください」と言ったことはありましたけれど(笑)。
円満の秘訣は、一枚の布団で寝ること
―― 10年間、そんなふうにされてもなお、あばれる君を支え続けるって、本当にすごいと思います。円満の秘訣があるとしたら何でしょう?
あばれる君 一枚の布団で寝なかったことはないです。絶対に布団は二人で一つ。二つ敷いてましたけれど、僕が奥さんのほうに入って一緒に寝ていました。僕が好きなんですよ、奥さんの匂いがついている布団が。
―― 奥さんがお母さんみたいな存在なのでしょうか?
あばれる君 奥さん怒るんですよ、そう言うと。例えば、奥さんから電話が来て僕が「あ、はい、はい、そうですか」と冷たくあしらうと、「お母さんじゃないんだよ」「もっと大切に扱って」と。でも、僕はお母さんのことを好きなくらい、ゆかちゃん(奥さんのお名前)のことが好きですからね。
―― 最後に、奥様の一番好きなところを教えてください。
あばれる君 髪形とルックス……というのは冗談で、優しいところですね。産休に入る前も、僕の出発がどんなに早くても、例えば朝4時だったとしても、必ずマンションのエレベーターまで見送ってくれるんです。看護師さんってナースコール鳴ったら必ずすぐに起きることができますよね。もしかしたら、僕の「行ってきます」の声がナースコール代わりなのかもしれません(笑)。
僕とゆかちゃんの間には、今回の映画のボルケニオンとマギアナのような深い絆があるんです! ぜひ皆さんもご家族で劇場にいらしてください。オニー!!
(取材・文/日経DUAL編集部 小田舞子、撮影/稲垣純也)