仕事中トイレに席を立つときは資料を3つはつかめ

N あと、私はのぞみが時短勤務を続けるかフルタイムに戻るか悩んだ第16話と第17話も共感しましたね。「大事なのは『自分で納得した働き方』を選ぶこと」第17話「悩みながらも前進!のぞみフルタイム復帰します」)という大崎・人事部長の言葉がぐっと胸にきて…。自分が納得しないうちはぐらぐらしているんですけど、自分で納得した瞬間から、たとえ子どもが病気になっても効率よく回せるようになったりします。「自分が納得する」というのは、専業主婦でもパートでも時短でもフルタイムでも、すごく大事なことなんだなって思いました。

小林 逆に自分が納得していないと、ずっと「よかったのかな、悪かったのかな」とモヤモヤしたり、恨む気持ちが出てきたりしますよね。

K 「時短」「フルタイム」をタイトルに出した回は大変よく読まれた実感があります。悩む読者は多いのかなと思いました。

N そういえば以前、先輩ワーママの松田さんに、効率のいい仕事の回し方について取材をしたことがありましたね。そのとき、とても印象的だったのが、仕事中トイレに席を立つときは資料を3つはつかめ、という松田さんのお話でした。

一同 え~!?

N あれ以来、私はトイレに行くときは「手ぶらで行っちゃいけない」と思うようになりました。

松田紀子さん
松田紀子さん

松田 トイレに行くまでの動線の話をしたんですよね。行って戻ってくるまでの間に中継ポイントがいくつかあるじゃないですか。例えば、FAX機がある、○○さんの席がある、郵便物がある…など。一度席を立ったら、それらをもれなくこなしながら、机に戻ってくるという話です。

おぐら すべての動きを無駄にしないんですね。その習慣は今でも?

松田 もちろん。家でもそうですよ。漫然とトイレには行きません(笑)。モップが底にくっついているスリッパを履いて歩くことも無駄にしない、みたいな精神ですよ。小林さんは時間を15分単位で考えるんですよね。

小林 子どもが小さいときはそうでしたね。15分=1コマあったらお風呂に入れる、2コマあったら料理ができる、ごはんが食べられるとか。2時間あれば8コマ取れて、何と何を組み合わせて何ができるとか。

松田 教えてもらって、私も一時期マネしていました。15分っていい単位ですよね。30分あるとちょっとダレるんです。

小林 これこれをやっている間に別のことをやろうという同時並行の動きもワーママ特有ですよね。一つのことを夫が悠長にやっていると、「何て無駄をしているんだ」と思えてきて…。

おぐら ワーママの基本はマルチタスクですね。育休期間を終えて、そういう脳になった人が会社に戻ってきてくれることは、会社としても本当にいいことなんじゃないかと

松田 育休を終えたときって、のぞみも電話をうまく取れないというシーンがありましたが(第7話「働く母あるある 職場復帰ママのご褒美はアレ」)、私もふわふわっとした赤ちゃんとの世界から戻ったとき、しばらくは優しくて温和な人という印象があったみたいです。それが1週間で話し方、顔つき、態度が別人のように変わったと言われました。モードが切り替わったんですね。

N 2つの世界を経験してるから、ちゃんと2つのモードの間で切り替えられる。1つ世界が増えるみたいな。

おぐら そう、今は大変な思いでも、そういう人は絶対に重宝されると思いますよ。ママ達に言いたいのは、仕事をやめるという選択は最後にしたほうがいい。やめるのはいつでもできるから。バタバタすると思いますが、バタバタしているうちにどうにかなります。一番大変なのは0~1歳のときだけど、この状況は必ず終わります。眠れないのは、確かにつらいですけどね。

小林 私はこのマンガを、ぜひ管理職の方々にも読んでほしいと思います。子育て世代を部下に持ち、最終話にかけて考え方が変わっていく小野寺部長とか、上司や男性の視点からも突っ込んで描いていますよね。育休部下を持つ上司の課題図書だと思います。