子育て世代に起こりやすいトラブルの実例とその対処法を、弁護士法人・響の徳原聖雨弁護士に伺ってみました。第5回は、PTAや自治会などにまつわるトラブルにフォーカス。PTAは加入しなければいけないの?入らないでデメリットがあったら? 最近メディアでも話題沸騰中の問題、弁護士さんに切り込んでもらいました。

 CASE1 PTAを抜けたい!

Q. PTAが納得いきません。入会届がないのに自動入会になっているのは法的にどうなんでしょうか。

A. PTAなどの団体に加入するか否かは、契約のひとつといえます。PTA側と保護者側の両当事者が合意に至ってはじめて契約が成立するというわけです。したがってPTAは保護者から同意を得ることができなければ、本来は保護者を強制的に会員にすることはできません。法律上、弁護士会や税理士会など、加入義務がある団体もあって、このような場合には法律に従わないといけません。いわゆる強制加入団体というものです。しかしPTAにはそのような法律はありませんので、あくまでも「任意」加入団体なのです。

 保護者がPTAに加入することに同意をしていないにもかかわらず、会費を引き落とされていたのであれば、支払った会費を取り戻すことも考えられます。契約が成立していないのにお金を持っていかれた、ということと同じですから。

 このようにPTAへの加入はあくまでも任意なので、仮にPTAのメンバーに選ばれていたとしても、保護者からの退会の意思表示があった際には退会できるようにしなければなりません。しかし現実問題として、学校にお子さんを通わせている保護者からすれば、退会することで子どもにも何か影響が及ぶのではないか…など不安なところがあり、退会したくても、できないということも十分考えられます。こうなってくると任意とはいいつつも、実質的な強制加入と捉えることができます。日本国憲法では、「思想・良心の自由」や「結社の自由」が認められています。このような憲法に反するのでは、という議論もあります。

 子どもへの影響という点では、PTAが関わっていても学校やクラスも主体となっているイベントや授業などであれば、親御さんがPTAを脱退したこととお子さんの参加可否は本来関係ないと思います。しかしイベントの案内が届かないとか、実質的に参加できないような動きが起きる可能性があります。その場合には、困っているということを主張してよいでしょう。

 PTAに加入したくない場合には、その旨の意思表示を明確にすることが大切です。退会したことによって仮に何か影響が出たのであれば、それはおかしいといえますからトラブル解決のために弁護士などの専門家に相談するのもいいかと思います。