辛辣なひどいバッシングは女性からだった

―― 旦那さんは最初からマタハラNet立ち上げには賛成してくださいましたか?

小酒部 反対だったんです。マタハラ問題があるのは、こういった状況を肯定する人達がいるからこそ。マタハラNetを立ち上げれば、相当のバッシングが来るのは分かっていました。そのバッシングに私が耐えられないと主人は心配していたんです。案の定、最初にニュースに出だしたときはすごいバッシングの嵐でした。

―― どんなバッシングでしたか?

小酒部 「流産したのは母親の自覚がないから自業自得のくせに、会社のせいにするな」「権利ばかりを主張して、契約社員のくせに声を上げるなんて。恥を知れ」「あなたみたいな人が騒ぐから女性の印象が悪くなる」「女性はめんどくさいんですね。わが社では金輪際女性を雇いません」……。こういったことです。「バカ、あほ、死ね」みたいなのもありました。

―― 想像以上にひどいですね……。女性からも来たということですか?

小酒部 辛辣なひどいバッシングは女性からでした。マタハラNet宛てにメールが来るんです。ニュースを見て、わざわざネットで「マタハラNet 小酒部さやか」と調べてブログにアクセスし、そこから憎悪に満ちた長文のメールを送ってくる。最初は「貴重なご意見をありがとうございました」と返していたのですが、そのメールアドレスに返しても届かないんです。捨てアドレスで、一回だけ一方的に文句を言って、匿名で怒りをぶちまけて、おしまいです。

 でも、その一方で、応援してくださる人や、苦しんで相談をくださる人もたくさんいたので、歯を食いしばれました。

一番問題なのは、バッシングしてくる人よりも“無関心な人達”

―― バッシングをする人の“負のエネルギー”は、いったいどこからくるものなのでしょう。

小酒部 みんな傷ついているんですよ。「私だってこんなに我慢して、苦しい思いをしているのに、我慢しないで声を上げるあんたを許せない」と思ってしまうのかもしれません。マイノリティーがマイノリティーを攻撃するという“負の連鎖”です。みんなつらくて、みんな悲しがっているのでしょう。

 だからこそ、バッシングが来たときに、逆に「何度でもニュースに出てやる」って思いましたね。連鎖を断ち切るためにも。大事なのは、バッシングしてくるような人にも何度でもニュースにすることによって、この問題はニュース性があるのだということを知ってもらうことです。そして、一番問題なのは、バッシングしてくる人よりもむしろ“無関心な人達”だと考えました。