児童福祉法と同じ年にできた保母学院の先生方は児童の権利を守る意欲に燃え、授業は刺激的でした。戦前・戦中・戦後の困難な時代、恵まれない子どもたちを守り抜いたつわものぞろい。講義によっては、岩波少年文庫と同じぐらいの魅力がありました。

病気や障害を持つ子に出会い、自分を恥じた

 当時の私は、本で古今東西世界中のありとあらゆる子どもに出会っているから、どんな子にも驚かないと自負していました。しかし実際に勉強し、施設見学や実習を重ねるうちに、現実は物語以上にいろいろな子どもがいることを知りました。病気や障害を持つ子にも出会い、何も知らなかった自分を恥じました。同時に、どこの施設でも子どもたちが児童福祉法と児童憲章で大事にされていることに感動しました。

私の会った子どもたちはみんな、勉強をしたいと願い、学校が大好きでした。

P118~119(童話)/中川さんの全作品がカラーで収録
P118~119(童話)/中川さんの全作品がカラーで収録

 子どもたちに共通していたのは、「学校が大好き。お友だちが大好き」ということ。難病の子も障害のある子も、一日もはやく学校に行きたい、友だちに会いたいのです。

 私の会った子どもたちはみんな、勉強をしたいと願い、学校が大好きでした。

 そんな子どもたちと接しながら、私は「日本一の保育士になりたい」と思うようになったのです。

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『ママ、もっと自信をもって』(中川李枝子著、定価1200円+税)

『ぐりとぐら』の誕生秘話が、ここにある。
~天才児童文学作家・中川李枝子の歩んだ道、
 日本中のママを感涙させた子育て奮闘記~

戦前戦後を経験し、母として、保育士として、作家として活躍した80年を振り返った貴重な一冊!

◆第一部 子どもと本が教えてくれた
 ~私の保育士時代、子ども時代

 ◎保育園の子どもたちに教えてもらったこと
 ◎みんな、本が教えてくれた
 ◎『いやいやえん』『ぐりとぐら』が生まれるまで など
◆第二部 ママ、もっと自信をもって
 ~悩めるママと中川李枝子さんの子育てQ&A

 Q. イヤイヤ期の3歳の長男についいら立ってしまいます
 Q. 保育園と幼稚園、どちらがいいのでしょうか?
 Q. わが子の成長をついほかの子どもと比べてしまいます
 Q. 子どもと一緒に読むおすすめの絵本を教えてください など

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