就職、転職、独立、そして、結婚、出産、育児……女性の人生はいくつものライフイベントによって彩られ、同時に多くの迷いも生まれるもの。社会の第一線で活躍する女性から、人生の転機とその決断のポイント、充実したライフ&ワークのために大切にしている価値観を聞く連載企画。今回は、パーソナルスタイリストとして活躍するみなみ佳菜さんインタビュー後編です。「自分らしく働く」をキーワードに、みなみさんが日々の仕事の中で大切にしていること、仕事を通じて実現しようとしている思いを、日経DUAL編集長の羽生祥子がインタビューします。※前編『みなみ佳菜 6歳のときに「装いのチカラ」を実感』もお読みください。

その方の夢や目標まで聞いて、その夢への近道となるような装いを提案

羽生編集長(以下、羽生) 日頃からみなみさんのお話を伺っていると、お客さまと接する時間が本当に好きなんだなと感じます。

みなみさん(以下、敬称略) 会社員時代も現場が大好きでした。お客さまにぴったりの服を提案できた時、「あなたのおかげで楽になったわ」と言われるのがとても嬉しくて。マネジャーとしての階段を上るのではなく、パーソナルスタイリストとしてのキャリアを選んだのも、お客さまと直接接していたいという理由が一番大きかったと思います。

羽生 コンサルティングに近いですよね。実際、みなみさんの初回のカウンセリングでは、その人の日常生活や性格をじっくり聞くことに時間を割かれていますし。服の相談のはずが人生相談を始めるお客さまも多いのだとか。

みなみ 話しているうちに気を許されたのか、「ちょっと薬を飲んで横にならせて」と言われて2時間待ったこともあります(笑)。時に子育ての苦労とか離婚の相談を受けることも時々。

羽生 2時間も(笑)!? 一番外側の服を相談と言いながら、一番内側のディープな部分までさらけ出させてしまうみなみさんって、すごいですね。

みなみ 私は言葉では何も言って差し上げられないのですが、服を通して「こういうお気持ちを表現してはどうですか?」と提案することはできると思っています。先日も広告会社のプランナーの女性が、私が選んだ服を見て「やっぱり、私、本当はそうなんだ。仕事から逃げようと思っていたけど、頑張ろう」とつぶやいていらっしゃいました。カウンセリングでは必ずその方の夢や目標まで聞いて、その夢への近道となるような装いの提案をしているんです。