自分の考えがうまくまとまらなかったり、相手にきちんと伝わらなかったり……、人とコミュニケーションを取るときに、思うようにいかないなと感じたことはありませんか? 物事を論理的に考え、伝えることができたら……。そう思って、論理力を鍛えるためのビジネス本を手に取ってみたものの、中身が難しくてかえって自信を無くしてしまった、なんて人もいるかもしれません。「でも、『論理力』ってそんなに難しいスキルではないんですよ。だって、私達は小学校の国語の教科書で既に学んできたのですから」。そう話すのは、『論理力は小学6年間の国語で強くなる』(かんき出版)の著者・小川大介さんです。小川さんの話によると、私達は小学校6年間の国語で、「論理力を鍛えるために必要な3つの力」、つまり「把握する力」「思考する力」「伝達する力」を育んでいるといいます。

前回記事「小学生は国語の時間に意外とスゴイことをしている」では、小学生が6年間で学ぶ国語の教科書の中身と、論理的になるための第1ステップ、「把握」について説明しました。物事を論理的に考えるには、その基となる情報を集める必要があり、情報を集めるには「目的」を持つことが大切であるとお伝えしました。

とはいえ、時に私達は十分に「把握」しないうちに、いきなり答えを出そうとしてしまいがち。そのため、自分の考えがうまくまとまらなかったり、相手にきちんと伝わらなかったりといった状況に陥ってしまいます。では、そもそも「考える」とはどういうことなのでしょうか? 今回は、論理力を身に付けるために必要な3つのステップの2つ目に当たる「思考」について、小川さんに聞いてみました。

考えているようで、実は考えていない状態とは?


小川大介さん

 何日かけて考えてもいいアイデアが見つからず、ありふれた企画書しか提出できなかったり、解決策が見つからなかったり……、考えてみたけれど、よいアイデアや答えを見いだせないという経験をしたことはありませんか? 私はよくあります。そして、後になって気づくのです。「あ~、私は考えていたようで、考えていなかったんだな」と。

 例えば今、あなたが仕事と子育ての両立が大変で、転職しようかどうか迷っているとします。でも、今の仕事はとても面白く、やりがいもあります。転職したら、時間的な余裕を持てるようになる可能性もありますが、今のようなやりがいのある仕事ができるかどうかは分かりません。だからといって、このまま続けていては、子どもと一緒に過ごす時間が思うように取れず、いつも時間に追われてしまいます。だから、転職をしたいと考えている。

 さて、この状態は「考えている」といえるでしょうか?

 いいえ、ただ悩んでいるだけです。

 「考える」とは、まず考える対象となる「課題」があり、「分析」→「解釈」→「検証」の段階を踏んで、その課題を解決していくプロセスのこと。目的を実現するために、頭を適切に働かせる活動といってもいいでしょう。

 一方、「悩む」とは、解決していく先が見えないまま、ただ現状に困っている状態をいいます。冒頭の例でいえば、仕事と子育ての両立がうまくいかず、困っているという状態ですね。

 なんとかしなければという思いはあるものの、「何を」「何のために」「どのように」解決していけばいいのか分からず、頭の中でただ自分が持つ情報やそれに付随して生まれてくる感情をぐるぐると巡らせているだけ。つまり、何の解決にも向かっていないということです。

 次ページからはこの「思考」に必要な3つのステップを解説しますが、驚くことに、小学生達は国語の授業で6年間、この練習を続けているのです。

次ページから読める内容

  • 「考える」ために必要なステップの1つ目は「分析」
  • 「分析」できたら、「解釈」「検証」を行っていく
  • 物事を論理的に考えるために不可欠な「対比思考」
  • 論説文も、物語文も、思考力を育むのに適している
  • 国語ができる子は設問の意図に従って読むことができている

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