家族みんなの家事分担が進む畳敷きの家事室

 2階のフロアーの中央にあるインナーテラスには、屋根があり、隣家との境目には目隠し用のフェンスを設置している。このため、「隣家からの目を気にすることなく、暮らしを“はみ出す”ことができます」(河崎さん)

2階フロアー中央にあるインナーテラス。屋根と目隠し用フェンスがある
2階フロアー中央にあるインナーテラス。屋根と目隠し用フェンスがある

 おじゃましたときは、インナーテラスに洗濯物が干してあったが、「実は洗濯機の乾燥機能が数日前から故障してしまいまして。仕方なくテラスに干しているのです」とAさんは少しバツが悪そうに話してくれた。本来なら洗濯物は洗濯機で乾燥させるか、1階の家事室で干しているのだという。

 2階のリビングとともに、Aさん宅の大きな特徴となっているのが、1階にしつらえた、この衣類家事室(衣家事ルーム)である。家事室は畳敷きになっており、収納式の物干しパイプが設置されている。部屋の隅にはアイロン台も。アイロン掛けはパパの担当なのだそうだ。家事室には、家族みんなの衣類をしまうクローゼットである“みんクロ”もある。

1階にある畳敷きの衣家事ルーム。物干しパイプと家族みんなの衣類収納がある
1階にある畳敷きの衣家事ルーム。物干しパイプと家族みんなの衣類収納がある

 「畳敷きの衣家事ルームは、洗濯物を山積みしておいてもいい場所。ゆったりとアイロン掛けをしたり、家族みんなで洗濯物を畳んだりもできるので重宝します。畳んだ服はその場ですぐに収納(みんクロ)へ。家事動線もスムーズです。家族それぞれの収納場所を決めておけば、子どもが自分で片づける習慣も身につくでしょう」(河崎さん)

 さっそくお姉ちゃんが干し終わった服を畳み始めると、その横で妹も自分の服を畳みだした。「専用の家事室があることで、どこに何があるか分かりやすく、家族が家事を手伝いやすくなり、家族みんなの家事分担が進みます。積水ハウスの調査によれば、家事室の所有率は一戸建て住宅の約8.5%とまだ高くありませんが(積水ハウス衣家事定点調査2015より、N=2000全国)、家事室をつくるのは共働き家族にはおすすめですね。外から帰ってきたら、まず1階の衣家事ルームにカバンを置き、服を脱いでシャワーを浴びて部屋着に着替えれば、2階に汚れ物を持ち込むことはありません」(河崎さん)

物干しパイプに吊した洗濯物から自分の服を取る
物干しパイプに吊した洗濯物から自分の服を取る

服をたたんだら、みんクロの自分の引き出しに
服をたたんだら、みんクロの自分の引き出しに

 なお、Aさん宅のように、基本的に洗濯物を室内で干す家庭は増えている。積水ハウスの研究によれば、室内干しで最も早く乾くのは「除湿」、2番目に早く乾くのは「換気(屋内給気)+扇風機」である。覚えておきたいポイントだ。

主な乾燥方法別別の乾燥時間(積水ハウス「実測に基づく室内干し時における洗濯物の乾燥時間および室内温湿度環境」より)
主な乾燥方法別別の乾燥時間(積水ハウス「実測に基づく室内干し時における洗濯物の乾燥時間および室内温湿度環境」より)