―― 逆に東京の駅で良いなと思うところ、ここは改善してほしいと思うところは。

豊岡 電車の本数が多いのは東京の良いところですよね。トイレやいろんなトラブルで乗り過ごすことも多い中、2~3分の間隔で電車が来てくれるのは心強いです。

 改善してほしいのは構造の複雑さでしょうか。新宿や渋谷など大きな駅は特に、まるで迷路みたいで難易度が高くて……。行きたい出口にたどり着くのに、いくつもエレベーターを乗り継がなくちゃいけないこともよくありますから。

 あと、東京はベビーカーで困っているお母さんがいても、スルーしてしまう人が多いのは残念。助けたい気持ちはあるのかもしれないけど、皆さん忙しくてそこまでの余裕が持てていない印象です。

 そんな中、たまに手伝ってもらえたり優しい声をかけてもらえたりすると神様かと思うくらい感動しますよね(笑)。駅員さんでも、改札を通るときに「ここからだとエレベーターないですよ」とかって声をかけてくれる人もいて、ちゃんと見てくれてるんだと思うとほっとします。疲れている方も多いと思うのですが、もう少し温かく見守っていただけたらと思いますね。

 お母さんも肩身の狭い思いをしないために、なるべく混雑時は避けるなどの工夫ができるといいですよね。あとは時間に余裕を持って出かけたり、事前に利用する駅のことを調べたり。最近はスマホでいろんな情報が手に入るので、ちょっと調べておくだけでもおでかけのときの心の安定剤になると思います。

親子で鉄道好きは良いことだらけ

―― ちなみに、お子さんは2人とも鉄道好きだとうかがいました。

豊岡 はい! 息子も娘も生まれたときから鉄道グッズに囲まれた環境なので、もう筋金入りです。息子が1歳のときに「絵本読んであげるから好きなのを持ってきてね」と言ったら『鉄道ファン』という大人向けの専門誌を持ってきたこともありました(笑)。

 今では私より詳しくて、見ていなくてもホームに入ってきたときの音や匂いで車両を当てられるほど。モーター音やブレーキ摩擦の匂いで、車両の種類が分かるんです。娘もそんな環境で育っているから鉄道は男の子の趣味という感覚がなくて、お兄ちゃんのお下がりのプラレールにリカちゃん人形を乗せて遊んだりしていますね。

 私は自分が鉄道好きなので、電車を見に行ったときに「電車だね」だけじゃなくて「8000系来たね!」みたいに詳しく教えてあげられるのがよかったのかなと思います。子どもも好奇心に火が付いたみたいで、次々に質問してきましたから。

親子のおでかけはもっぱら鉄道巡りで、恵比寿駅付近から湘南新宿ラインを食い入るように見つめる子ども達。外から見るだけでなく乗るのも好きで、乗ったときには車両をくまなく見たがるので退屈する暇がないという
親子のおでかけはもっぱら鉄道巡りで、恵比寿駅付近から湘南新宿ラインを食い入るように見つめる子ども達。外から見るだけでなく乗るのも好きで、乗ったときには車両をくまなく見たがるので退屈する暇がないという