昨年12月12日(土)に虎ノ門ヒルズ フォーラム(東京都港区)で開催された日経ウーマノミクス・フォーラム「グローバル・ウーマン・リーダーズ・サミット」。「女性リーダーの強み」をテーマに、ご応募いただいた日経ウーマノミクス・フォーラム女性会員が充実した時間を過ごしました。

キーノートレクチャーに登場したのは、スイスに拠点を置く世界トップクラスのビジネススクールIMDで「女性向けリーダーシップ・プログラム(Strategies for Leadership)」を主催するギンカ・トーゲル教授。世界中の女性エグゼクティブを教えてきたトーゲル教授がこのたび新著『女性が管理職になったら読む本』(日本経済新聞出版社)を出版しました。その中から日経DUAL読者にぜひお読みいただきたい内容をご紹介します。

年収が10万米ドル以上の女性の49%に子どもがいない

ギンカ・トーゲル教授
ギンカ・トーゲル教授

 キャリアを築いていくために、女性達は何度か訪れるであろう「キャリアの移行期」をうまくマネジメントしていく必要があります。まずは、その難しさを物語る2つの記事を紹介しましょう。

 一つは、経済学者で非営利の研究機関、センター・フォー・タレント・イノベーションの所長兼CEO、シルビア・アン・ヒューレット博士が、2002年に『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌に寄稿した論文「女性エグゼクティブと、すべてを手に入れられるという幻想(Executive Women and the Myth of Having It All)」です。

 ヒューレット博士がアメリカで行った調査から、年収が10万米ドル(1米ドル100円で換算すると年収1000万円)を上回る女性の49%に子どもがいないことが分かりました。一方、年収10万ドル以上の男性で子どもがいないのはわずか19%です。博士は、「キャリア構築のタイミングと出産・子育てのタイミングが重なることに原因がある」と指摘しています。

 この論文の発表からちょうど10年目に当たる2012年、今度は、ヒラリー・クリントン米国務長官の下で、国務省の重要ポストである政策企画本部長に就任した米プリンストン大学のアン・マリー・スローター教授が、「なぜ女性は、いまだにすべてを手に入れることができないのか(Why Women Still Can't Have It All?)」と題した記事を『アトランティック』誌に寄稿し、世界的に物議をかもしました。賛否両論を含め、日本語のメディアでも広く取り上げられています。

 女性初の国務省政策企画本部長に就任したスローターさんですが、国際法学者だった彼女にとって外交政策に深く関わる国務省政策企画本部長の職は、夢にまで見た憧れの職でした。同じくプリンストン大学で教授職に就いていた夫は時間の融通も利きやすく、彼女を全面的にサポートしました。

 しかし、同誌に寄せられた記事には、夫と10代の息子2人が住むニュージャージー州プリンストンと、国務省があるワシントンとを行き来する生活の中での苦悩がつづられています。息子達が母親を必要としている場面に幾度となく遭遇するにつれて、彼女も子ども達のそばにいてあげたいと思い、政府の要職と母親の役割との間で板挟みになっていたのです。

 そして、スローターさんは、政府の要職を続けるのは不可能だとして職を辞したのです。

 「女性はすべてを手に入れることができない」というのは、いささか過激な表現かもしれませんが、私なりにこれを解釈すると、「女性は『常に』すべてを手に入れることができない」ということだと思います。

次ページから読める内容

  • 40代女性の脳は10代の子どもの子育てと、ホルモン変化の二重の負荷を背負う
  • 女性のキャリアは「挑戦」「バランス」「自分らしさ」のせめぎ合いで決まる

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