昨年12月12日(土)に虎ノ門ヒルズ フォーラム(東京都港区)で開催された日経ウーマノミクス・フォーラム「グローバル・ウーマン・リーダーズ・サミット」。「女性リーダーの強み」をテーマに、ご応募いただいた日経ウーマノミクス・フォーラム女性会員が充実した時間を過ごしました。

キーノートレクチャーに登場したのは、スイスに拠点を置く世界トップクラスのビジネススクールIMDで「女性向けリーダーシップ・プログラム(Strategies for Leadership)」を主催するギンカ・トーゲル教授。世界中の女性エグゼクティブを教えてきたトーゲル教授がこのたび新著『女性が管理職になったら読む本』(日本経済新聞出版社)を出版しました。その中から日経DUAL読者にぜひお読みいただきたい内容をご紹介します。

リーダーは自分の強みを抑えて、偽りの自分をつくってはいけない

ギンカ・トーゲル教授
ギンカ・トーゲル教授

 リーダーになろうとする女性の多くは、「世間一般の人が考える典型的なリーダー(野心的で競争心があり、自立心と自信に満ちあふれ、積極的に自己主張する人物像)のように振る舞わなければならない。女性が持つ共同的な特性(優しくて思いやりがあり、人付き合いがよく友好的といった特性)は表に出さないようにしなければならない」と思っています。

 アメリカのキンプトン・ホテルズ&レストランツの元COO(最高執行責任者)、ニキ・レオンダキスさんも、そう考えていた一人です。キャリアの階段を昇り始めたころは、同僚の多くが男性だったこともあり、彼らのリーダーシップ・スタイルをまねようとしていました。

 しかし、あるとき、こう気づいたと言います。

 「私は『協力的で、人々の個性を理解し尊重し、チームワークを大切にする』といった自分の強みを抑えつけて、自分ではない誰かになろうと一生懸命になっていました」

 誰かのまねをするということは仮面を着けることであり、偽りの自分をつくることです。ある程度の成果は上がるかもしれませんが、本当の自分でなくなればリーダーとしては成功しないでしょう。人がリーダーについていくのは、その人を信頼し、共感しているからです。少しでも偽りがあると感じた途端、その人についていこうという気持ちは失われてしまいます。

 従って自分ではない誰か他の人のリーダーシップ・スタイルをまねることは、よい結果を生み出しません。男女を問わず、素晴らしい成功を収めてきたリーダー達は皆、「自分らしいリーダーシップ・スタイル」を見いだし、それを貫いています。