昨年12月12日(土)に虎ノ門ヒルズ フォーラム(東京都港区)で開催された日経ウーマノミクス・フォーラム「グローバル・ウーマン・リーダーズ・サミット」。「女性リーダーの強み」をテーマに、ご応募いただいた日経ウーマノミクス・フォーラム女性会員が充実した時間を過ごしました。

キーノートレクチャーに登場したのは、スイスに拠点を置く世界トップクラスのビジネススクールIMDで「女性向けリーダーシップ・プログラム(Strategies for Leadership)」を主催するギンカ・トーゲル教授。世界中の女性エグゼクティブを教えてきたトーゲル教授がこのたび新著『女性が管理職になったら読む本』(日本経済新聞出版社)を出版しました。その中から日経DUAL読者にぜひお読みいただきたい内容をご紹介します。

女性には特有の「自信の低さ」がある

ギンカ・トーゲル教授
ギンカ・トーゲル教授

 前回ご紹介した「無意識バイアス」以外にも、女性リーダー誕生を阻む要因があります。

 それは、女性特有の自信の低さです。これが、リーダーシップを発揮することをためらわせる原因の一つとなっています。

 米ヒューレット・パッカード社が行った社内調査によると、社内公募があったとき、男性社員は要求水準の60%しか満たしていないと感じていても取りあえず応募してみようと考えるのに対し、女性社員は要求水準を完全に満たしていると確信が持てなければ応募をためらう傾向にあることが分かりました。

 イギリスのロイズTSB銀行では、人事考課目標を達成した女性行員の数が男性行員の数より8%多いにもかかわらず、女性行員は男性行員よりも昇進に手を挙げようとしない傾向があることが明らかになりました。

 このように女性が自分自身を過小評価してしまう傾向は、驚くほどよく見られる現象です。

 イギリスの女性政治家、シャーリー・ウィリアムズさんも、自信が持てずリーダーになることをちゅうちょした女性の一人です。

 彼女はもともとイギリス労働党に所属する下院議員でしたが、1981年に離党し、ロイ・ジェンキンス元蔵相、デイヴィッド・オーウェン元外相、ウィリアム・ロジャーズ元運輸相と4人でイギリス社会民主党を立ち上げることにしました。しかし、新党結成の際には、初代党首の有力候補だったにもかかわらず、名乗りを上げるのを拒みました。

 後にウィリアムズさんは英『ガーディアン』誌の取材で、「当時の私は、同僚の男性政治家を過度に恐れ、遠慮していた」と振り返り、次のように述べています。

 「つまるところ、党首としての責任の重さに気後れしたのです。自分では力不足だと思っていました」