泥土は感性を磨くための最強の万能素材!

 これからの季節、水遊びも子どもの感性を磨くには素晴らしい素材ですが、水に加えて、砂や土などに水を加えた泥土こそが、感性を磨くための最強の万能素材であると、竹井さんは勧めます。

 「粒子の細かい泥に足を入れると、『にゅるにゅるして気持ちいい!』となります。この感覚は、お風呂に入ったときに『ああ、気持ちいい!』となるのと同じ気持ちよさ。感性による喜びへとつながっていくことになります」

 泥の気持ちよさを体験したら、さらに遊びが発展。 「泥だんごを例に挙げると、真ん丸ピカピカのキレイな泥だんごを作るには、どんな土を使い、水の量をどれくらいにして、泥の固さを調節しつつ、どうやってこねたらいいのか、手はどう動かしたらいいのかといったことを、子どもなりに理論的に考えます。だんごがうまくできると、次は泥だんごを使っておだんご屋さんごっこが始まる。すると、泥だんごが媒介となって、だんだんと集団の遊びになっていって、人間関係の遊びへとさらに発展します」

 このように、水とセットにした泥遊びというのは、にゅるにゅると気持ちいい「感覚遊び」と、泥だんごなど形あるものを作る「可塑性を生かした遊び」、作ったものでごっこ遊びをする「人間関係の遊び」と3種類の遊びをすることができます。この3つの遊びが合わさることで、「人間として成長するのに大事な力が育つ」と、竹井さん。

 「土や泥で遊ぶときに水を加えて遊びますが、水が多ければベチャベチャになってしまいます。逆に少ないと土はうまく固まりません。自分が遊びたい目的に合わせて、子ども自身が水の量や、土の状態を探っていく。そこで、子どもは、“土”という自然物に働きかけて、土のいい状態を作っていくのです。ちょっと大げさな言い方かもしれませんが、自然が人間の自己実現に応えてくれるといった、まさに『自然と人間のインタラクティブな関係』が土遊びによって成立するのです」

土遊びは自然が人間の自己実現に応えてくれる、まさに『自然と人間のインタラクティブな関係』と竹井さん。写真はイメージ/竹井さん提供
土遊びは自然が人間の自己実現に応えてくれる、まさに『自然と人間のインタラクティブな関係』と竹井さん。写真はイメージ/竹井さん提供

 これらは、市販の油粘土などではできない、土遊びならではの特別な体験です。

 「油粘土は、人間が人間のために作った土なので、いつでも言うことを聞いてくれます。常に人間が頂点になっているので、何も考える必要はありません。しかし、自然の土で遊ぶためには自然のことを知ろうとします。そして、土の特徴を理解できたところで次にどう使おうかと考える。いろんな試行錯誤を繰り返すうちに、どんどん遊びが発展していくのです」

 竹井さんは「土遊びのプロセスにおける学びは人間が文明や文化を創ってきたプロセスにおける学びと似ている」と解説します。

 「人類は、常に自然と向き合って生きてきたわけですが、土を使って遊ぶ中で、環境教育の原体験もできると思うんです。色々な遊びができるようになるほど、自然に対する関わり方も変わってくる。人間が自然とどう付き合うのか? 大切な原体験として学ぶことができるのが、土遊び。子どもは思う存分、土遊びを通じて自然と関わり合いながらいろんなモノを作り、そこから人間関係を築く遊びに発展させていくのです。まさに、人間と自然との関係の歴史そのものであって、その原体験を遊びを通して学んでいくうちに、豊かな感性と知性が育っていくと考えています」

 多くの遊びの要素が詰まっている土遊び。 「だからこそ子ども達は、土と水を与えて遊ばせると、放っておいてもずっと楽しそうに遊んでいますよ(笑)」