20~70代、様々な職業の女性に、自由に話を聞ける仕組みも

 キャリアコア科目の内容は、1年生後期での「キャリアデザイン入門」の履修、2年生前/後期での「女性の生き方と社会」あるいは「女性とキャリア形成」の履修、3・4年生後期での「企業と社会のルール」の履修、からなっています。就職活動や卒業を控えた3~4年生のときだけでなく、1~2年生のときからキャリア教育を重視しているのが特徴です。

 また授業だけでなく「社会人メンター制度」として、学生が自分の関心のある業界や職業について、実際に働いている「メンター」による個別カウンセリングが受けられるような仕組みを作っています。登録している社会人メンターは約300人、年齢は20~70代、経験した職業や職種は100種以上。みな女性で、子どもがいながら働いている人も多いです。メンターのうち昭和女子大学の卒業生は16%と、特に卒業生にこだわらず多くの女性の話が学内で聞けるようにしています。

 この社会人メンターによる個別カウンセリングを受け、リポートを書くことで、評価につながる加点がされます。最初は「単位のために」とカウンセリングを利用する学生もいますが、「将来のことを考えるきっかけとなった」「話を聞いてよかった」という感想が多いです。一回利用して、その良さが分かり、その後も継続的にカウンセリングを利用する学生もいます。

DUAL このようなキャリア教育を受けることが、学生の進路にどう影響しているのでしょうか。

伊藤純さん
伊藤純さん

伊藤純キャリア支援部次長(以下、敬称略) 入学当初からキャリア教育を受けてきた学生がこの春、卒業しました。そんな一区切りをきっかけに、大学では学生にアンケート調査を実施し、本としてもまとめました。

 大学3年生の後半に実施した調査によると、仕事と家庭をずっと両立していく人生を歩みたい、と考える学生は4割強。子育てなどでいったん仕事を離れたとしても、フルタイムで再就職をしたいと考える学生は13%程度。パートタイムでも働きつづけたいと考える学生が3割強。いずれは専業主婦になりたいと考える学生は5%未満でした。一般的な若年未婚女性を対象とした同様の調査に比べ、専業主婦を志向する学生が少ないです。

 またそのような志向をなぜ持ったか、という質問では「キャリアコア科目」「学科の専門科目」などの理由が、実際の社会経験である「アルバイト」よりも上位に来ていました。

 また常々、学生を見ていて思うことは、女性がキャリアをつづけていくうえで重要な、「産休や育休などの制度」「配偶者との協力」「保育園などに子どもを預けて働くためのノウハウ」などについて、学生はほとんど知らないなぁということです。そういうことについて、早い時期から教えることも大切かなと思っています。

DUAL キャリア教育では、具体的な就職先選びなどにも、言及しているのですか。