転園から3カ月弱…夏前には幼稚園に転園を決意

 散歩の少なさは他の保護者達も気になっていたようで、懇親会などでも話題になることが多かった。父母会として要望書を出したこともあり、園としても屋上での外遊びを増やすなど努力はしてくれていた。ただ、早めにお迎えに行ったときに屋上遊びを見学したこともあるのだが、そう広くない屋上をみんなでぐるぐる走り回る程度。見晴らしが良く気持ち良かったが、散歩の代替になるとは思えなかった。

 何よりも散歩は、目的地までの道のりの間にも学ぶことが多い。大勢で歩くときの道の歩き方や歩行者への配慮も学べるし、よそのおうちの庭先の花で季節を知ったり、そのお宅のおばさんと会話したり…そういう「体験」をたくさんすることが何よりの「教育」だと思っていた。

 同時期にできた近くの認可保育園では、定期的に姉妹園の園庭を使っての泥んこ遊びがあったり、決して近くはない多摩川土手に頻繁に散歩に行っていると聞きうらやましく思った。

 とはいえ、園にも色々事情があるわけで、要望を出しても叶いそうもないのであれば、諦めるか、かなう場所へと移るしかない。無事入園させてホッとしたのもつかの間、夏前には本格的に転園について検討し始めた。

 別の保育園に移れればいいのだが、どこでもいいというわけにはいかないし、希望園に空きがあるとは限らない。それに、わが家の加算ポイントから考えると認可園から認可園に移るのはほぼ不可能というのが現状だ。ならば幼稚園しかない

 仕事については、夫と2人で制作会社を営んでいるので時間の融通は利く。自転車操業の超零細企業なので毎月の資金繰りに胃が痛くなることも多く、外注費とスタッフの給料まではなんとか確保したものの自分達の給料までは手が回らず無給だったときもあったが、働き方だけはいかようにもできた。オフィスは都心部にあるが、私自身は出産後は通勤時間と定期代がもったいないので自宅勤務に切り替え、打ち合わせのあるときだけ通勤するようにしていた。

 一方で、スタッフはアルバイトも含めて4人。私が仕事量を減らせばすぐに他にしわ寄せが行ってしまう。一番影響を受けるのはもちろん夫だ。幼稚園に通わせることで万が一私の日中の仕事時間が減るようなら、早朝や深夜にやりくりする努力はするが、最終的には夫に頑張ってもらうしかない。平日の家庭での夫の協力は、ないものとして考えるしかなかった