思い描いていた以上に良かった杉並区のA保育園

 わが家が出産時に住んでいたのは東京都・杉並区。娘が最初にお世話になったのは私立認可園のA保育園で、生後2カ月での入園だった。いわゆる「保活」の激戦で知られる区だ。1月生まれで同学年の子どもと比べると手のかかる0歳児だった娘が認可園であるA保育園に入れたのは、ある種、奇跡に近いと思った。なにしろ同じクラスの10人の園児のうち、4月生まれが4人。10人のうち7人が9月までに誕生日を迎え、「保活に不利な早生まれ」は娘だけだったのだ。

 入園当時、A保育園は2歳児クラスまでしかなかったことも比較的入りやすかった要因だろう。やはり5歳児クラスまでないと、それほど人気は過熱しないようだ(もちろん、定員割れはあり得ないが)。わが家は園のすぐそばに住んでおり、出産前から丁寧な保育とアットホームな雰囲気を間近で見ていたので、申請書提出直前には5歳児クラスまである園にも心が動いたりはしたが、最終的にはここを第一希望にして出した。3歳以降をどうしようかという不安はあったが、いつかは大田区にある私の実家のそばに引っ越したいという思いもあったため、「区切りになってちょうどいいかも」くらいに考えていた。今思えばお気楽すぎる考えだが、思いの外すんなりと保育園に入れたものだから、転園だってたいしたことはないと軽く見ていたのだ。

 夫も私も幼稚園育ち。40歳を過ぎた高齢出産だったため周囲に幼い子を持つ友人もおらず、保育園がどんなところかほとんど知らなかったため、最初はすべてに戸惑ったものの、A保育園は思い描いた通りのところだったと言っていい。いや、思い描いていた以上と言ったほうがいいかもしれない。

 オムツは今どき珍しい布オムツ。産後、はりきって布オムツ育児に挑戦したものの、予想通りの大変さで、生後2カ月目にして挫折しかけていた私にとっては、保育園で対応してもらえることは渡りに船だった。和食をベースにしたおいしい給食は魚メインで、おやつはすべて手作り! 園庭はなかったが、すぐそばに小川も流れる大きな公園があり、ほぼ毎日、泥だらけになるまでたっぷり遊ばせてくれる。ベテラン看護師さんが子ども達の健康をしっかりチェックし、今思えば「そんな小さなことで!?」という相談にも丁寧に答えてくれるので、何かあると「看護師さんに聞いてみよう」がわが家の合言葉になったくらいだ。蚊取り線香だって体に優しい除虫菊素材のもので、虫除けスプレーや軟膏なども安全を念頭に吟味したものを使っていたため、転園した園でディート成分入りの虫除けスプレーを1歳児でも当然のように使っているのを見たときはかなり驚いた。

 40年以上の歴史ある園だけに代々買いそろえられてきた厳選されたおもちゃも豊富で、室内に設置された肋木(ろくぼく)などの大型遊具は雨の日の強い味方だった。誕生日には先生手作りのおもちゃがプレゼントされ、フェルトでできたおにぎりセットや聴診器もある診察セットは、今でも娘のお気に入りだ。