音楽活動を開始してから7年間事務所に無所属だったにもかかわらず、渋谷や恵比寿など著名なライブスタジオでの公演が続々とソールドアウト。2014年、27歳でのメジャーデビュー後には全国ツアーの本公演をすべて満員にするなど、音楽ファンから大きな支持を集める個性派シンガーソングライター・大森靖子さん。デビュー直後に出産を経験し、仕事に子育てにと奮闘しています。

「常識を打ち破り、すべてを肯定する」「マイノリティーの気持ちを代弁する」独自の音楽性で人気の大森さんのキャリアと育児の日常をつづる連載。産後、1カ月でレコーディングを再開、1カ月半でライブ活動を再開したという大森さん。今回は、大好きな仕事と子育ての両立生活と日々の喜怒哀楽についてです。20代ママシンガーのリアルな日常と心の叫びとは? 

 出産初日の夜は疲れで金縛りにあい、お化け(幻覚?)もたくさん見た。子どもも疲れていたようでなかなか目覚めず、朝になってから初乳をあげた。早い時期からの本格復帰を決め、1カ月でレコーディングを再開、1カ月半でライブ活動を再開した。

 表舞台に戻ると、まあ目立つので、やはり私の子育てに関して、「ちゃんとやっているのか」という声も少なくなかった。

 「もう休んでないですよ!」という表明を活動で示していかないと仕事が減るという具合もあり、たくさん人の目に入るよう、会社の方達と全力の宣伝を打ったので、それが成功したとも言える。

マルチな父親はいいのに、ミュージシャン兼母親はなぜだめなのか

 尊敬している人に「大森靖子の精力的な活動を見てるとなんか懐かしくなるが、子育ては大丈夫なのか。」とツイートされ、「自分はミュージシャン兼脚本家兼俳優兼舞台監督兼…とかやってるのに、ミュージシャン兼母親はだめなのかよ」と思ってしまったり、反論してまた何か言われるのも面倒臭いから「あはは~」と返してしまった自分に腹が立った。

本格的な音楽活動と子育て両立に対する世間の反応。反論してまた何か言われるのも面倒臭いから、笑って返してしまった自分に腹が立った
本格的な音楽活動と子育て両立に対する世間の反応。反論してまた何か言われるのも面倒臭いから、笑って返してしまった自分に腹が立った

 悪意なく先輩に「保育士さんに子育てしてもらってるようなもんだね~」と言われたり、「子宮よこせ、私が代わりに子育てしたかった」と言われたこともあった。「おまえの子どもに生まれるの、かわいそう」の言葉は日々浴びせられすぎてもう慣れた。

 ちゃんとやるってなんなんだろうね。ちゃんと愛してるんだけどなぁ。

 仮に私が仕事をしている時間、子育てをサボっていると認めたとして、お迎えに行った瞬間から子育ては毎日続いているわけで。仕事して疲れてようが夜は授乳で眠れないし、「休んでいる時間なんて全くないのになあ~。サボってるって感じになるのか」と落ち込む。

 別に誰になんと言われようと、子育ては楽しいし、仕事も好きなことをしているので楽しいし、いいのだ。いいのだ…。いいけど…。いいのに…。