「キャバ嬢じゃないんだよ」 私が出演をやめたイベント2種

 細かく言うと、途中、何となく出演しないことにしたイベントが二種類ある。

 一つ目は、フォークミュージック回顧オヤジの集まるライブイベントで、アコースティックギター愛好家からハミングバードの弾き方を激しくディスられ、アコースティックギターの名器「マーチン」至上主義論を3時間語られたことがあり、次回から断った。

 二つ目は、主にYUIを筆頭にしたギタ女ブームにより増加した女性シンガーソングライターを5、6人集めて30分ずつ演奏させるイベントで、デジカメを持った1人の男性が「オレは音楽が好きだ!」という様子で、ステージで歌う好きな女の子の写真を撮り続けていた。彼は騒がしい私のライブのときはひたすらデータフォルダのチェックをしていた。スカートの中を撮った写真が見えたので、デジカメを投げて壊したら、池袋の駅まで追い回された。

 当時ファンとのやり取りや宣伝は主にSNSで行われていて、その女性シンガーソングライターは「こっちはキャバ嬢じゃないんだよ」というタイトルの日記を書いていた。何だか闇が深そうなので、その後はオール女性シンガーソングライターのイベントは基本的に出ないことにした。

9割が男性の音楽業界 若さだけを武器にした女子は消費される

 往々にして言えるのはどのシーンにおいても、圧倒的に男性社会であるということ。バンドをやっている人口に限らずイベンターさんや事務所の偉い人、ライブハウスの店長、ネットニュースサイトの記者、関わる人間の9割が男性だ。

 ただ、カメラマンに関しては、宮﨑あおいさん絶対肯定世代に起こったカメラ女子ブームにより、(ろくな写真を撮るわけじゃないのに)ライブ料金を払わずにスタッフで入場できて、客席の一番前で写真を撮り、他の女性客よりも立場が上だとマウンティングする女子も多くいた。もちろん、本格的にかっこいい写真を撮る女の子もいたけれど。

 この世界では、女子は若さのみを武器にしてしまった瞬間に賞味期限が発生し、期限切れになる前に食い潰される。19歳から25歳ぐらいにかけて、同志だ!と心のうちで思っていた女の子達が、私より先にCDを出しては、「追いつけるように頑張るぞ」とこちらが張り切っているうちに音楽をやめてしまったり、活動を休止したりした。