「どうしてそう思うの?」「もう少し分かるように話してよ」「で、結局何が言いたいの?」……。自分の考えが相手にうまく伝わらず、歯がゆい思いをしたことはありませんか? 仕事でも、プライベートでも、もっと論理的に伝えることができたら……、そう思っている人は多いことでしょう。しかし、「論理的」という言葉は、どこか難しく感じてしまうもの。だから、「論理力」のある人は、優れた能力を持っている人と思われがちです。

「論理力を簡単に言えば、他人から『なぜ?』『どうして?』『どこからその話が出てきたの?』『腑に落ちないよ』というツッコミを入れられずに、自分の話を聞き入れてもらえるかどうか、という力です。『なるほど』『納得した!』と言ってもらえたら、その文章や話し方は『論理的』だということになります。だから、難しく考える必要はありません」と話すのは、『論理力は小学6年間の国語で強くなる』(かんき出版)の著者・小川大介さんです。小川さんといえば、DUALの連載「共働き 中学受験基本のキ」でもおなじみの中学受験専門のプロ講師ですが、今回初めてビジネス本に挑戦したそう。

といっても、その中身は難しいものではありません。なぜなら、小学校の国語の教科書を使って、論理力の身に付け方を解説しているからです。えっ!? 小学校の国語の教科書で論理力が身に付くの? 疑いたくなりますよね。その内容について小川さんに聞いてみました。

実は、私達は小学校の6年間で「論理力」を育んでいた

【小学校国語の目標】

国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成し、伝え合う力を高めるとともに、思考力や想像力及び言語感覚を養い、国語に対する関心を深め国語を尊重する態度を育てる。
(文部科学省「小学校学習指導要領」平成20年3月より)

小川大介さん
小川大介さん

 上記は文部科学省が発表している小学校の国語の目標です。ここに記してあるように、小学校の国語の教科書は、物事を筋道立てて考える力、相手の意図をつかみながら聞く力、計画的に話す力、自分の考えが正確に伝わるように順序立てて話し、書く力が養われるようにできています。

 これって、まさに「論理力」ですよね?

 「へ~、今の教科書はそんなにレベルが高いのか~」と思われた方、実はこれは今に始まったことではありません。今、大人となった私達が小学生だったときも、論理力を育てる要素が国語の教科書にはしっかりと入っていたのです。

 小学生のころは、学校の授業中に「今、論理力を鍛えるトレーニングをしているんだ」という実感はおそらくなかったでしょう。でも、皆さんは小学校の6年間で、知らず知らずのうちに論理力トレーニングを受けていて、頭の中には論理的な思考法も、論理的な表現のポイントも入っています。論理が苦手な人は、その力をうまく引き出せていないだけ。使い方を少し練習すれば、すぐに使えるようになります。