これから夏にかけて日差しが強くなる時期、大人は日ごろの忙しさや蒸し暑さでちょっとお疲れ気味の日もありますが、子ども達の遊びたいエネルギーに「待った!」はありません。遊びのネタが尽きて、週末の1日がもたない……そんなときに役立つ遊びのノウハウをたっぷりと詰め込んだ「パパの外遊び、おうち遊び特集」特集。子どもの遊びの専門家である愛知教育大学教育学部創造科学系教授・竹井史さんが子どもの心身に効いて、さらに盛り上がること間違いなしの遊びを厳選して教えてくれました。

 特集前半では、外遊びの中でも子どもに人気の泥遊びや砂遊びのアイデア。後半では、作って一緒に遊ぶことで親子の絆が強くなる「手作りおもちゃ」を紹介します。泥&土遊びの魅力に迫った前回に引き続き、今回は具体的な4つの土遊びノウハウです。大人がどこを意識しながら遊びに関わると子どもがより楽しめるのか、竹井さんからの遊び方のポイントやパパライターの感想を参考にぜひ試してみてくださいね。

【パパの外遊び、おうち遊び 特集】
第1回 五感を磨き、生きる力の基礎となる泥&土遊び
第2回 脳に効き、創造力を育む 泥&土遊び4選 ←今回はココ
第3回 雨の日の室内遊びにぴったり! 手作りおもちゃ5選
第4回 5分でロケット完成! 幼児向け手作りおもちゃ5選
第5回 元気の源になる! 小学生向け手作りおもちゃ5選

親子で“共感体験” 土を触ったときの気持ちよさが大事

愛知教育大学教育学部創造科学系教授 竹井史さん。筑波大学大学院人間総合科学研究科後期博士課程芸術専攻満期退学。富山大学人間発達科学部教授等を経て現職。専門は美術教育、幼児教育(造形・遊び)。これまでに、地域住民参加のイベントを15年間企画・運営し、7万人以上の親子と触れ合う
愛知教育大学教育学部創造科学系教授 竹井史さん。筑波大学大学院人間総合科学研究科後期博士課程芸術専攻満期退学。富山大学人間発達科学部教授等を経て現職。専門は美術教育、幼児教育(造形・遊び)。これまでに、地域住民参加のイベントを15年間企画・運営し、7万人以上の親子と触れ合う

 「土」とひと言で言っても、その特性は様々。砂のような粒度の大きいものもあれば、粘土質の土のように、非常に細かいものまであります。土は子どもの感性を磨いてくれるため、竹井さんは、「多様な環境で、色々な土に触れさせてあげてほしい」と言います。

 土遊びには感性を育む「感触遊び」と、形のあるものを作る、可塑性による「モノ作り遊び」、人間関係を育む「ごっこ遊び」の3つの種類があると、前回竹井さんから聞きました。それでは実際に土を使って子どもと遊ぶとき、親はどういうことを心がけて遊べばいいのか、聞いてみました。

 「まず、1つ目の『感触遊び』ですが、粘土質の泥なら『冷たくて気持ちいいね』とか、『にゅるにゅるして気持ちいいね』など。砂で遊ぶなら、手に砂をかけて「サラサラの砂が気持ちいいね」など、色々な心地よい刺激を与えて、感覚遊びをすることが大切です。

 そのときに、ぜひパパやママに心がけてほしいのは、親子で“共感体験”をするということです。一緒に感覚遊びをしてみて、“気持ちいいね”とか、“心地いいね”といったいいイメージを一緒に体験しながら共感できるように声掛けしながら遊んでほしいと思います。感触遊びで大事なのは「気持ちいいかどうか」。気持ちよければ楽しいので、次の遊びへと展開できるはずです。間違っても、気持ちよくなるハズもない、炎天下で汗だくになって遊ぶといったことは避けてくださいね(笑)」

子どもの面白がりポイントを観察し、臨機応変に!

 2つ目の「モノ作り遊び」や3つ目の「ごっこ遊び」などに関して、竹井さんは次のようにアドバイスします。

 「作りたいモノがどうしたら作れるか、親子の共通の話題ができ、『どうやったらキレイな丸の形になるんだろう?』と団子作りで盛り上がれます。注意してほしいのは、例えば泥だんごを作って、そこから団子屋さんなどのごっこ遊びに発展していったのなら、形にこだわってはいけません。あくまでも遊びを楽しむためのツールですから、そこで、パパはストレートに『キレイな団子にしないと!』と言ってしまいがちです。しかし、子どもはごっこ遊びを楽しもうとしているのに、作ったものに対するネガティブな評価をされると遊ぼうという気持ちがそがれてしまいます。たとえどんな形でも『おいしそうだね~』と子どもの気持ちに寄り添ってあげてください

 そう言われてしまうと、困惑するパパも多いと思いますが、土遊びをするうえで、親が注意するポイントはただ1つ。

 「どんな土遊びでも、子どもがどこのポイントで遊びに夢中になるのか、その面白がりポイントを親はしっかりと観察し、子どものペースに合わせて、臨機応変に子どもの遊ぶ環境や言葉の掛け方、関わり方を選んでください。お互いの共感体験を大事にしつつ、一緒に楽しんでほしいと思います」

 次からは、竹井先生オススメの土遊びを4つ紹介すると共に、実際に遊んだパパ目線の感想などもお伝えしていきます。

ハラハラドキドキ!息をのんで熱中する「棒倒し」

【遊び方】
 砂場での遊びとしては定番の「棒倒し」。親子で両手いっぱいの砂をかき集めて山を作り、山の頂上に木の枝を1本だけ刺す。集まったメンバーで順番に砂を取っていき、木の枝が倒れたら負け!

写真左:砂山を作ったら、落ちている枝を拾ってきて頂上に立てるだけ/写真右:ちょっとずつ、砂を取りながらドキドキです
写真左:砂山を作ったら、落ちている枝を拾ってきて頂上に立てるだけ/写真右:ちょっとずつ、砂を取りながらドキドキです

砂が減って倒れそうになると、キャーキャーと大騒ぎ!
砂が減って倒れそうになると、キャーキャーと大騒ぎ!

【竹井さんのアドバイス】
 棒倒しの一番面白いところといえば、いつ棒が倒れるかといった、ハラハラドキドキ感! 順番に砂や土をすくって、だんだん倒れる危険性が増していくのですが、そのスリリングさを親子で楽しみましょう。このとき注意してほしいのは、大人が一度にたくさん取ってしまわないこと。次に子ども達がちょっと砂を取っただけで倒れてしまうようなことをするのはよくありません(笑)。子ども達と同じく少しずつ取りながら、お互いのコミュニケーションを図りつつ、じっくりと遊んでもらいたいと思います。どれだけ砂を取ると倒れてしまうのかといったバランス感覚が自然と身に付くのもポイント。何回も繰り返し遊ぶ中で、その面白さを一緒に体験してもらいたいと思います。

【パパライターの感想】
 近所で一番砂場が大きい公園に娘と行ってみたところ、ちょうど娘がかつて通っていた保育園のお友達を発見。娘と一緒に公園に落ちている枝探しをしようとすると、一緒に枝探しを手伝ってくれました。その後、3人で砂山を作り、見つけた木の枝を刺して棒倒しゲームスタート! 慎重に1人ずつ砂を取りながら、徐々に砂の山が少なくなってくると、ドキドキ感もマックス。そこで「ああ〜っ!」などと大声を出して軽く脅すと、子ども達はキャッキャと大喜びでした(笑)。とてもシンプルな遊びですが、砂場と枝さえあればどこでも可能。親子でコミュニケーションが図れて、とても楽しめます。

【次から紹介する遊び】
●開通したときの達成感がたまらない「トンネルづくり」
●素材の可能性は無限! 環境意識が高まる「アースケーキ」
●真ん丸にな~れ、自然と対話する「つるピカ泥だんご」