アグネス アメリカの場合、地域によっては子どもが学校に行っているのかいないかさえ親が把握していないという家庭もあるので、日本のように教育熱心な親が多いのはネガティブなことではありません。学校は「やりやすい」と言います。もちろん「教育」は学力や点数など勉強だけではなく、子どもの個性を伸ばしたり、様々な体験や考える機会、興味を持つきっかけづくりなど全てが教育。どんな親だって、自分の子どもの可能性を120%伸ばしたいと思うもの。そういう普通の欲望を肯定的に持っていいと思うんです。

―― 様々な教育の選択肢がある中で、アグネスさんの3人の息子さんは中学までインターナショナルスクール、高校からはアメリカの全寮制の高校へ行きました。アグネスさんは、日本にお住まいになられていて、日本に多くのものを与えてくださっています。それでも最終的に、アメリカの学校を選んだのはなぜですか?

アグネス  ある日本の名門小学校の説明会へ行ったとき、「試験の日に絶対風邪を引かせたらダメだよ」と言われたんです。「子どもの一生を左右しますから。これは親の責任ですからね。チャンスは一度ですから」と言われて。夫は「子どもは風邪を引くもんだよ! 親がコントロールできるもんか」と、ぷんぷん怒っていました。その後で行ったインターナショナルスクールの説明会では、「体調が良くなかったら連れてこなくていい、またチャンスを作る。ありのままを見たいので、準備は何にもしなくていい。受験勉強なんて絶対させちゃ駄目だよ、子どもがかわいそうだから」と言われて。思わず二人で顔を見合わせて「ここだねっ」て。

“チャイルド・ファースト”を夫婦で考え、インター校を選んだ

 要するに、学校のためでもない、親のためでもない「この子のためだ」という教育が一番大事だと思ったんです。そのときから既に国際化といわれていて、どこでも通用する人間を育てるためには国際的な心はもちろん、英語も必要かな、と。それで最終的に、多くのインターナショナルスクールの中でも一番日本語教育に力を入れている西町インターナショナルスクールを選びました。当時横浜に住んでいたのですが、学校まで歩いて行けるようにしたいと、学校周辺で土地を探し引っ越しもしましたね。

―― 引っ越しやキャリアのコントロールも時には辞さない。そういうこともアグネス流の教育ではされてきたんですね。