メディアで20年のキャリアを積んできたなかのかおりさんは、最近、退職を決断しました。39歳で初めての出産。育休を取って復帰したときに会社から用意されたのは、アウェーの部署での仕事でした。業務に慣れる間もなく次々と襲ってくる子どもの病気、上司や同僚からの理解のない発言や態度。なかのさんは、心身を病みながらも現状を打破しようともがき続けますが、悪循環のスパイラルにはまっていきます。マミートラックにはまってしまった一人のママのストーリーを、4回でお届けします。

第1回 出産したら四面楚歌 私のキャリアどうなっちゃうの?
第2回 子どもの病気がこんなに多いなんて、知らなかった
第3回 入社15年、がむしゃらに働いた。それなのに… ←今回はココ
第4回 二度と正社員になれないかも…それでも退職へ

上司の意向に添って頑張れば、希望の職種に戻れると思っていた

 育休から復帰して、1~2歳のころ。娘が病気のとき必死に預けて出勤したのはなぜかというと、会社での「評価」が怖かったから。上司に注意されたり、職場の全員メールでとがめられたりということが続き、「休むと怒られる」という恐怖が上回っていたのです。

 上司の意向に添えば、産前まで長く携わっていた職種に戻れると思っていました。結局は異動できず、上司も代わりました。次の上司が来て面接し、初めは理解があるような話だったのですが…。誤解が重なり、「遅刻早退が多くて問題がある人」との扱いになりました。娘が高熱のとき、連絡して看護休暇を取らせてもらうと、「子どもの体調も管理するように」「よほどのことでなければ休まずに」と叱責されました。

 直後に娘の病気が私にうつりましたが、そのように言われたので休めません。出勤すると、健康管理の担当者に呼ばれて、「うつる病気のときは休まないと」と注意されました。休んでもダメ、出勤してもダメ。どうしたらいいの?

 娘も成長するにつれ、預けようとしても初めての人を受けつけなくなりました。大人だって、初めての人と過ごすのは疲れる。3歳ぐらいからは「評価がボロボロでも仕方ない」と割り切り、病気の1日目は私が休むことが多いです。同時に顔なじみのシッターさんに連絡して、半日でも大丈夫ならお願いする。夫が仕事を持ち帰れる日は、私が午前休にして出勤します。

 娘の病気が続き、注意されることが多かった3歳の夏。フルタイムになっていたのに、娘の病気に備えて週4日勤務に戻しました。勤務時間で評価されるとすれば、希望の部署への異動は、もうないかもしれません。悔しくて仕方ありませんでしたが、私の心身も限界でした。