そこに予想もしない衝撃が。勤務時間を後ろにずらすよう命じられました。制度として、育児のために時間の繰り上げは認められているのですが、「今後は認めない」と。単純な後ろ倒しなので残業代は出ません。保育園の延長保育を利用しても、ぎりぎりの時間。「お金を払えば、延長できるよね」「タクシー(自費)で帰るとか、自分で努力すれば」と言われました。

 あわてて延長保育に必要な書類を申請。保育園に相談し、役所に申し込みました。並行してあちこちに相談し、やっとのことで30分、初めに言われた時間よりは繰り上げてもらいました。延長保育生活は体力がいります。出勤前に家事。帰宅してからごはん、おふろなどすべてがずれ込み、寝るのが遅くなります。娘も保育園にいる時間が長くなり、初めは疲れた様子でした。

自分が慣れている職種だったら、産後も結果を出せたかもしれない

 私の場合、妊娠中にアウェイの部署に異動したので、ハンディがあったのだと思います。大学を卒業後、入社してしばらくは、地方に赴任して修業を積みました。東京に戻り、「異動して、頑張って、結果を出して」を繰り返していたら、35歳。地方に赴任していた夫と別居のまま結婚し、同居したら37歳になっていました。

 当時の上司に「子どもを持ちたい」という意向を伝えたのが逆風の始まり。お荷物扱いになったのか、部から出されました。別会社かつ新規事業の数人しかいない部署に出向。退職や異動で部員が減り、通院や産休も迷惑になる環境でした。流産ののち妊娠し、私は昔の上司にお願いして本社に戻りました。

 人数の多い本社に異動できれば、何も言えない状況。配属されたのが、現在の部署でした。長いこと携わっていた職種とは全く違う。つわりがひどく、会社に行くのがやっと。安定期に入ってほっとするまもなく、夫の海外への単身赴任が決まりました。

 準備に追われ、産休に。新しい人間関係を築く余裕もなかったし、初めての職種や職場のルール、文化を知る時間がありませんでした。シフト制で持ち帰り仕事はできないため、勤務時間や欠勤に厳しいというのも、産休前には十分に理解していなかったのです。