小学校入学前後の発症が特に多く、男の子に多い

 チックの症状がある子は、全体の10~20%といわれていますが、軽いものも含めれば、実際はさらに多いと考えられます。

症状が出やすい年齢・性別は?

 3~10歳に発症することが多く、特に小学校入学前後の6~7歳に発症する例が多く見られます。

 原因ははっきりしていませんが、精神的に発達して物事がよりよく分かるようになってくる年齢であること、入学前後のストレスや環境の変化、発達の段階で脳神経のバランスが不安定になりやすい時期であることが理由として考えられます。

 男の子に多く、男女比は男の子2~3:女の子1です。

経過は?

 緊張すると出る人、逆に家でくつろいでいるときに出る人、ストレスとは関係なく出る人と様々です。症状は自然と治まったり、悪くなったりと波がありますが、1年以内で治まることがほとんどです。また、最初はまばたき、それが治まったと思ったら今度は首すくめを始めるなど、次々と姿を変えて現れることもあります。

 割合としては少ないですが、症状が複雑で1年以上続くと、チックの最重症型の「トゥレット症候群」という診断がつくことがあります。

 小学校高学年くらいが最も症状が強く、思春期後半になると落ち着いてくることが多いです。このころになると脳の発達が成熟することや、ストレスを受けても対処する力がより強くなるため、落ち着くと考えられています。

心理的要素だけではなく神経伝達物質の障害が関与した疾患と解明

チックの原因は一つではない

 かつては親のしつけが厳しいから、本人が神経質だから、入学や転校、いじめのストレスといった心理的要因だけが注目されてきましたが、近年の研究でドーパミンという神経伝達物質が関係していることが明らかになりました。

 脳神経を伝達し、筋肉を動かす一連の流れのなかで、何らかの障害が起きることで、神経伝達物質のアンバランスが起こり、チックが起きているのだろうという説が有力です。

 また、近い親族にチックの人がいると発症しやすいという遺伝的な要因や、家庭や学校環境の要因、心理的な要因など、色々な要因がミックスして症状が出ると考えられています。