子育ての強い味方は、おばあちゃん

 おそらくそのほとんどが戦後生まれに当たるこの世代の元気さには、目を見張るものがある。もちろん、体のあちらこちらが痛む年齢だし、病院に定期的に行って治療をする話もよく聞く。それでも義母も含めたパワフルなスイス人女性には、「どんと来い」という頼もしさと、「大丈夫だから行ってきなさい」という大きな安心感がある。時折、元気過ぎて心配になるが、所々で“きちんと”手を抜いているのを見ると、嫌味ではなく本当に安心する。

 わが家の上の階に住むジャクリン(仮名)も還暦を迎えて、毎週1歳と3歳の2人の孫の面倒を見ている元気なおばあちゃんだ。彼女の娘のワーキングママ、ソフィア(仮名)も毎週1日は両親、そして別の1日は義理の両親に子供達を預けている。加えて週に1日は自分のスキルアップの時間を確保する為に、保育所に子どもを預けているのだと教えてくれた。

 子育てをする中で、いかに「自分」という存在を忘れずに主張できるか、そこを当たり前にやってのけるスイス人ママ達のたくましさと、パパ達の深い理解、そして中高年の圧倒的な体力と支援が、この国のワーキングママの比率を高めているのだと常々思う。

スイスは本当に自然が豊か。天気が良い時はお誕生日パーティーも公園でする
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 スイスは自然が豊かで、水も空気もうまい。加えて、幼稚園にも小学校にも集団登校というシステムは存在せず、子ども達各々が毎日自由に幼稚園に行くので送り迎えもない。治安がいい証拠だろう。けれども幼稚園は午前中で終わり、小学校に入学しても午前中のみの授業ばかりがまた数年間続く。おまけに給食はなく、伝統的に自宅で毎日昼食を食べるので、スイスのママ達は中々子育てから解放されずに縛られることも多い。加えてスイスの学校の休みは年間13週間だ。これでママ達の就業率が7割なのは、アッパレと言えるのではないだろうか。

<取材・文 シュタイネマン直子(スイス情報.com) 海外書き人クラブ