車で10分、ドイツの幼稚園へ

 スイスの隣国ドイツでは、3歳から幼稚園への入園が許可される。それに対してここスイスでは4~5歳と少々遅めの受け入れだ。そこで国境近隣のワーキングママ達は、隣国ドイツの幼稚園に入園許可を得て、毎日送り迎えをする。費用は受け入れ先によって異なるが、およそ200ユーロ~450ユーロ(約2万4千円~5万4千円)とスイスと比べてお財布に優しいのが、人気の理由だろう。預けられる時間の短さと送り迎えの面倒なところが難点に挙げられるが、スイスのわが家からドイツの幼稚園までは車で10分なら、特に問題はない。陸続きのヨーロッパに住んでみて、国境を越えて幼稚園に通うことも可能なことを知った――。

 ただこれは、国境付近に住むママ達限定の裏技であり、遠方になるスイスのほとんどの家庭への解決策には繋がらない。ちなみにこの場合、ドイツの幼稚園では、訛りのあるスイスドイツ語ではなく標準ドイツ語を学べるという利点がある。

 私達が住むのはスイスのドイツ語圏だが、スイスの日常会話はスイスドイツ語だ。「ドイツ語」を日本語の標準語と捉え、スイスドイツ語を強めの方言だと想像してもらうと分かりやすいかも知れない。小学校に入学すると全てこの「標準ドイツ語」での授業が始まるため、先に慣れることはプラスに繋がりそうだ。ところでこのスイスドイツ語、地域はもちろん話す人によっても全く違うので、スイス在住10年目の筆者もいまだに苦戦している。

夫の会社では毎年家族をイベントに招待する。子どもが楽しめるコーナーも盛りだくさん!
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 ヤスミン(仮名)は自宅でターゲスムッター(ベビーシッター)をしている友人だ。直訳すると「日中のお母さん」と愛くるしい呼び名だが、これを名乗るには講座を受講しなければならない。ちなみに彼女自身も、7歳の双子のママだ。このように子育てをしながら、自宅を開放してターゲスムッターをするママも多い。相場は1人1時間10フラン(約1100円)。このリーズナブルさと親しみやすさが魅力的で、ターゲスムッターを利用するワーキングママは多い。そして例え友人同士でもキッチリと料金を請求する所がサッパリしている。時間が合えばフレキシブルにも対応するので、シングルマザーの知人は常時3人のターゲスムッターを確保しているのだと言う。

 ちなみに私は在宅で仕事をしているので、外で働くワーキングママからのターゲスムッター依頼が多い。けれども、わが子がいる時限定で、無償で預かるようにしている。物質的な報酬はないが、私の体調が優れない時にわが子も快く預かってもらえるので、助かっている。