お国柄がにじみ出る世界の子育て事情を、各地に住むライターのリレーでリポートしていくこの連載。今回はスイスです。スイスでは子どもが小さいときから、職場復帰をするママが多いといいます。保育費は高いうえに、幼稚園や小学校の終了時刻は早かったりと、決して共働きに優しい環境ではないにも関わらず、です。その理由を、スイス在住のシュタイネマン直子さん(スイス情報.com)が分析します。

幼い子どもを持つ母親の就業率は7割

 スイスでは幼い子どもを持つ母親の就業率が約7割。母親は生後3カ月の赤ちゃんを保育所や祖父母、ターゲスムッター(独:Tagesmutter)と呼ばれるベビーシッターに託し、仕事場へと向かう。生活のため、キャリアのため、そしてよく耳にするのは「大黒柱に何かがあった時の保険」のために働く。スイス人はとても現実的だ。

母親学級では、定期的に赤ちゃんを預けてママ自身の時間を確保すること、これは赤ちゃんにとっても、母親以外の人と触れ合う良い機会なのだと教えられた
母親学級では、定期的に赤ちゃんを預けてママ自身の時間を確保すること、これは赤ちゃんにとっても、母親以外の人と触れ合う良い機会なのだと教えられた

 スイスでは出産から8週間を過ぎると職場への復帰が可能になる。そして出産から98日間(14週間)は1日最大196フラン(約2万円)、給料の80%が保証されている。有給休暇は年間最低4週間だ。

 友人のミランダ(仮名)は、4歳と6歳の2人の子どもを持つワーキングママだ。フルタイムで働く彼女は子どもを義務教育である幼稚園に通わせる他に、保育所に2人の子どもの幼稚園前後のケアを依頼している。日本と同様、公立保育所の費用は両親の所得によって変わるが、この2人の子ども達の保育費は毎月4300フラン(約47万円)だそうだ。両親共にフルタイムで働いているとは言え、中々の金額に腰が抜ける。

どんな気候でも毎日外遊びをするスイスの幼稚園。預けられ慣れている子どもが多く、ママが恋しくて泣き叫ぶ光景はほとんど見られない
どんな気候でも毎日外遊びをするスイスの幼稚園。預けられ慣れている子どもが多く、ママが恋しくて泣き叫ぶ光景はほとんど見られない

 もちろん、そんな高額な費用を支払える家庭ばかりではない。別の友人スザンナ(仮名)からは、こんな裏技を教えてもらった。