社員だけでなく、社員の家族も。取引先だけでなく、取引先の家族も大切にする

―― 社長は経営戦略を立て、それを実現する社員を育てる。これが最大の投資であり戦略なのですね。言われてみると「なるほど至極当然のことだ」と思いますが、これを実現することがいかに難しいか、そして近藤社長は徹底されているからこそ実現可能なのだと思いました。

近藤 そうですね。社員だけでなく、社員の家族も大切にし、取引先だけでなく、取引先の家族も大切にする。その次がお客様で、4番目が地域社会。株主は最後です。この順番で人を大切にする限りは、業績は必ず良くなるし、成長します。

 アベノミクスで輸入専業は潰れているところが出てきているときに、うちは増収増益で、過去最高の受注を記録している。アベノミクスでほとんど赤字100%必至という状況でも、ちゃんと会社は存続している。経営戦略と頑張る社員を組み合わせられるからです。

 以前1ドル80円だった為替が、今は1ドル125円ですから。この為替レートの変化だけでも、数億円のコストが掛かっていることになります。こうなると、人員整理などしても追い付きません。人を育て、強い会社になるほうが王道ではありませんか。

―― 御社は逆境の中でも増収増益を達成していますね。これ以上の説得力はありません。今おっしゃった「社員だけでなく家族も大切にする」ということですが、例えばどういう取り組みをされているのでしょう。

近藤 細かい話ですが、機会があれば社員のご両親にも会って「うちはこういう会社です」と伝えたり、社員の誕生日には家族宛てにギフトカタログをお送りしたりしています。

 それから、毎月、社員の家族に月刊『PHP』という雑誌を送ります。あれはお年寄りから小学校の子どもまで理解できる良い本ですよ。それを私の名前で送り続けています。

 社員を守り、家族を大事にしている良い会社だと思ってもらいたい。そうすると介護や産休など、社員に何かがあったときにも、家族や親戚が力になってくれて、また働けるように送り出してくれます。妊娠を機に家族から「仕事をやめなさい」と言われることも少なくなるでしょう。

 それに、家族の絆も回復しているようです。ギフトや雑誌を話題に、親子の電話が増えたとよく聞きます。こういった生活の側面からも変化を起こしていかないと、マタハラなど無くなるわけがありませんからね。