法律・制度の改正によって、資格の価値は変動する

 定番の資格でも、法律や制度の改正に伴い、ニーズが急に高まったり、落ち込んだりすることがあります。日々のニュースをチェックし、変化に敏感になることが大切です。

 「現時点で、価値が下がりそうな状況にあるのが『通訳案内士』。国家資格であり、訪日外国人のガイドを『有償』で行うことを認められています。しかし政府は先月、訪日外国人客の増加に対応するためとして、無資格者にも有償のガイドを認める方針を発表しました。難易度の高い国家資格なのでもちろん信頼と評価は得られますが、学習に時間とコストをかけるだけの価値は、以前ほどは期待できないかもしれません」(高村さん)

 なお、法律や制度が変更される頻度が高く、常に動向をつかんでおきたいのが「介護」の分野です。

 介護関連資格には、「ホームヘルパー(介護職員初任者研修)」をはじめ、実務経験を経て受験資格が得られる「介護福祉士」「介護支援専門員(ケアマネジャー)」などがあります。

 介護の専門家は、高齢化に伴ってニーズが高まることは言うまでもありません。しかし、仕事は見つかりやすくても、満足のいく収入を得られない可能性もあります。

 「介護保険制度は定期的に改正され、報酬も変動します。いずれにしても事業者が利益を高めにくい仕組みであり、『頑張ったり工夫したりすれば収入を上げられる』という期待が持てません。『ワーキングプア』に陥りやすい職種の一つといえます。望むレベルの収入を確保できないかもしれないと心得ておいてください」(高村さん)

――次回は、取得者が多い「定番」の資格をどうすれば収入につなげられるか、成功事例も交えてお話しします。

(文/青木典子)