「知ろう小児医療 守ろう子ども達の会」代表の阿真京子です。先日、子どもが頭を打ったときの受診の目安について、会の皆とシェアしました。ベビーカー、抱っこひも、階段、滑り台、室内や屋外にある台など、皆さん、様々な所からお子さんが落ちてしまった経験をお持ちでした。小さな赤ちゃんから小学生まで、「何もない」という方がいないくらいで、驚きました。
 何にでも好奇心旺盛で、どこへでも行ってしまう、登ってしまう。そのようなお子さんはケガが多く、「いつも外科のお世話になっている」という声も多く聞きます。好奇心旺盛なのはとてもいいことですが、親御さんには心配な面もありますね。
 「頭を打ったときに受診が必要な目安」は、ぜひ頭に入れておいてください。いざというとき、とても役立ちます。今回は、松戸市立病院・小児医療センターの宮川正・小児脳神経外科部長による解説をお届けします。

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同じケガでも2歳未満は「重症」になることがある

 ちょっと目を離した隙に、子ども達は転んだり、高い所から落ちたりして頭を打つことがあります。そんなとき、病院へ連れていったほうがいいのか、そのまま様子を見てていいのか、保護者は悩みますよね。

 これまでに報告されている研究を基に、そのとき私達大人がどう行動すればいいのか、そのヒントを記載してみました。

 「子どもの頭に外傷が加わる」といっても、そのパターンは1つとは限りません。そこで、「年齢」「けがの仕方」「症状や状態」「受診のタイミング」の4つの項目に分けて考えてみます。

■年齢

 まず年齢ですが、言葉で症状を伝えることができる線引きとして、「2歳未満」と「2歳以上」に分けて考えます。

■けがの仕方

 A)軽度 B)中等度 C)重度の3つに分けます。

A)軽度のけがの仕方=「足が着いた状態からの転倒など」

 足が地面や床に着いた状態からの転倒や、止まっている物へ頭をぶつけたというもの。つかまり立ちをしていて後ろに倒れた、歩いていて机の角に頭をぶつけた、などは「軽度」に入ります。

C)重度のけがの仕方=「重篤な交通事故や高い場所からの転落」

 衝突のときに車外へ放り出された交通事故や、同乗者が死亡した交通事故、ヘルメットをかぶっていない状態で、車と衝突した歩行者や自転車の乗車者、2歳以上なら1.5m以上、2歳未満なら0.9m以上からの転落が「重度」になります。

 転落の場合、2歳を区切りにして、高さが異なることに注意してください。頭蓋骨の硬さが違うためです。

 ちなみに階段一段は20cmとして計算します。5段目から転落した場合、1mの高さから転落したことになり、2歳未満なら「重度」、2歳以上は「中等度」のけがの仕方となります。

B)中等度のけがの仕方

 AとC以外と考えます。