女性活躍推進とは、組織風土改革である

―― 社長自らが女性活躍推進に関する取り組みに、かなりの時間を割かれたそうですが……。

山内 そうですね。女性社員や管理職への研修にも出席しています。出席できないときはビデオでメッセージを流します。「研修をやれ」と指示を出すだけで、中身を知らないのではいけませんから。

 社員がどんなことを学んでいるのか、座談会でどんな意見が交わされるのかをこの目で確かめたいと思い、3時間くらいの研修であれば最初から最後まで会場に同席しています。報告を聞くだけでもある程度は分かるでしょうが、その場で雰囲気を味わうことが大切だと考えています。また、研修を担当してくださる講師の方からもフィードバックがあるので、「次はこういうことをしたらどうか」と話し合っています。

 女性活躍推進とは、組織風土改革であると思っています。組織風土を変えるのは、経営トップが自分で旗を振らなければできないのではないかと。だから、私自身が直接意見やメッセージを発信するし、研修においても「社長がちゃんと見ている」ことを見せる。そうしたことが、会社のスタンスを伝えるために重要だと考えています。

―― 1年間の取り組みは、どんな成果につながったのでしょうか?

山内 2014年に行った調査では、課長代理就任前の女性の60%以上が、管理職になることに対して否定的であるという結果が出ました。それが1年後には、40%未満に減りました。また、管理職になりキャリアアップすることを望む女性が約20%から25%ほどに上昇しました。

 積極的に「なりたい」という人はまだそれほど増えていませんが、ネガティブな考えがニュートラルに近づいているという点で、前進したと感じています。管理職として裁量権を持って仕事をすることの面白さを知れば、さらに意欲が高まっていくでしょう。

 なお、男性管理職達からは「やはり女性は優秀ですね」という声が上がっています。これまであまり話題にしなかった「将来ビジョン」「キャリアへの考え方」についてちゃんと話し合いなさい、ということを推進したわけですが、女性の視点や考え方を深掘りすることで、潜在能力や成長の可能性に気づいた男性管理職は多いようです。

 それに、社内全体の雰囲気が活性化しているようにも感じますね。販売代理店の方々からも、「社員の活気が高まった」という感想をお聞きします。活気が高まることで、今後色々な面でいい効果が出てくることを期待しています。

アフラックはなぜ、わずか1年という短期間で一定の成果を挙げられたのか。その要因として、大規模な組織でありながら、あえて「短期集中」で取り組んだのが功を奏したようです。同社が「短期集中」にこだわった理由や展開のさらなる詳細についてセミナーで詳しくご紹介します。

(ライター/青木典子、動画撮影&編集/ネットレコーダー・ソリューションズ)