保育園不足の背景には保育士不足があることを、読者の皆さんもご存じだと思います。そして、資格を持っていても保育士として働かない/働けない人が多いのは賃金が低いためです。これについて山尾議員は「保育士の平均月給は全産業平均と比べて11万円も低い。格差を縮めるため、月5万円上げることを提案している」と言います。

 田村議員からは「1980年代からはGDP比で見た日本の子育て予算は欧州を上回っていました。その後、欧州では乳児のケア(保育)や幼児教育の意義、効果に関する議論が進み、予算を増やしました。しかし、増やしてはきたものの、国際比較で見ると他の諸国には追い付いていない状態です」という解説がありました。今後、日本で子育てと政治を考えるうえで必要なことが見えてきたように思います。

 このイベントを企画・運営したのは、関西に住む二人の大学院生、大阪大学大学院生の元橋利恵(もとはし・りえ)さんと、同志社大学大学院生の對馬果莉(つしま・かり)さん。そして、「明日少女隊」というフェミニストのアーティストグループでした。元橋さんは企画の理由を次のように話します。

「政治のことを知りたいのに、難しいし時間もないため分からない」

左から對馬さん、元橋さん
左から對馬さん、元橋さん

 「高校や大学時代の子育て中の友達から『政治のことを知りたいのに、難しいし時間もないため分からない』という声をいくつも聞きました。次の夏に参議院選挙があることを知って、何か同じ世代の女性達のために、情報を届ける企画ができないかと思いました。最もと言ってもいいほど、政治に声を届ける必要のある子育て世代の多くが、物理的にも心理的にも政治から遠ざけられているのを見て、社会的な支援が不十分なのだと思いました」(元橋さん)

 このイベントは託児サービスが充実していたことが印象的でした。私も4歳の娘を同行したところ、大学生が一人付き添って遊んでくれたり、たまにシンポジウムの様子を見に来てくれたりして、とても手厚いなあと思いました。ありがたいなあと思っていたら、託児のアレンジをした對馬さんの次のようなコメントに、はっとさせられました。

 「イベントを準備しているときの最大のジレンマは、今回の企画では、保育士の待遇改善についても議論するのに、イベント託児で子ども達を預かる保育士さんはその議論に参加できないことでした。ケアする人は政治的な議論の場所に行くことが難しく、待機児童問題の本当の難しさはここにあるのだと実感しました。だからこそ、当事者ではない人達が、一緒に声を上げなければならないと思いました」(對馬さん)

 本当にその通りですし、こういう視点を持つ若い方が企画したイベントは、やはり新鮮で楽しかったです。

 この日は残念ながら与党議員は登壇しませんでしたが、私は3~4月にかけて与党議員と保育園問題を話し合う機会がありました。次回は、与党の保育園不足問題に対する姿勢についてお伝えします。結論から言えば、政治家の意識は良い方向に変わりつつある、と思います。

(撮影/SPREAD 廣瀬真也)