無理のない範囲で、できる人ができることを

 第二部は国会議員2名が登壇しました。最初に民進党の山尾しおり議員がお話をしました。山尾議員は「保育園落ちた、日本死ね」と題した匿名ブログを国会質問で取り上げました。きっかけは事務所で働く19歳のインターン生が、ブログをプリントアウトして持ってきたことでした。「山尾さん、私は東京で働いて子育てしようと思っているから、保育園に入れないと困ります」と言われたそうです。

 「これをきっかけに、保育園問題に困っている方が声を上げてくれました。デモのときに使うカードをデザインしてくれた人。国会にベビーカーで来てくれた人。私はたまたま国会議員だったので質問をしました。みんながそれぞれの立場でできる役割を果たすことで、事態は少しずつ動いてきています」(山尾議員)

 私は、3月に開かれた民進党(当時は民主党)の待機児童対策会議に数回出席しています。ここで印象的だったのは、山尾議員が「無理のない範囲で、できる人ができることをしましょう」と母親達に繰り返し話す姿です。そこには「偉い議員の先生と陳情する国民」という構図ではなく、一緒に良い方向に変えていくという発想が表れていました。山尾議員自身が待機児童問題を経験したために、当事者の気持ちが分かるのかもしれません。

 次に日本共産党の田村智子議員がお話ししました。田村議員は国や自治体の予算配分に触れながら、保育園不足の背景にある問題を解説しました。「民主党政権時代に公共事業が5兆円まで減らされたのが、自民党政権になり7.9兆円まで増えてしまった」と田村議員は言います。公共事業を2.9兆円も増やす余地があるなら「子育て支援にもっとお金を使って」と要求することは正当なことに思えます。

 特に都市部で深刻な保育園不足について、田村議員は「石原慎太郎都知事時代の認可保育園をつくらない方針が影響している」と言います。2008年の金融危機で共働きが増えても、認可保育園をつくらない方針を変えなかったため、今のような保育園不足を招いているというのです。「他の公共事業と比べて保育は波及効果が大きい。親が働いて納税者になれること。子どもの早期教育は効果が高いことを考えれば、もっと保育に予算を割いてほしいというのは当然の要求です」という言葉には説得力がありました。