子育て世代に起こりやすいトラブルの実例とその対処法を、弁護士法人・響の徳原聖雨弁護士に伺ってみました。4回目は、万が一のときのために知っておきたい、交通事故のときの対処法です。被害者になったときに絶対知っておきたい賠償額請求の方法、加害者になったときの子どもの守り方です。

 CASE1 子どもが交通事故に遭った

Q. 子どもが車に接触してけがをしました。今後どうすればいいでしょうか。相手の保険会社が治療費を出してくれるのでしょうか。

A. 事故の現場に一緒にいた場合には、まずは落ち着いて警察と救急車を呼びましょう。車の運転手の名前や連絡先も、名刺をもらうなどして必ずメモしておいてください。後々の請求に必要になります。車が逃げてしまった場合には、警察などの手に委ねて捜査となります。

 事故の現場に居合わせず、警察や病院から連絡がきたのであればまずは子どもに会いに行きましょう。子どもがどのような状況であるかを把握することが大切です。お子さんも不安になっているでしょうし、親御さんに会いたいはずです。また、お子さんがけがを大丈夫だと言っていても、必ず病院で診てもらいましょう。

 損害賠償については、車の運転手が任意保険に入っている場合、相手方の保険会社と連絡を取り合うことになります。事故後、数カ月間は子どもの治療に専念してください。相手方保険会社から様々な書類が届くことになると思いますが、内容を確認し、よく分からないのであれば相手方の保険会社に聞くことも大切です。

 相手方保険会社に請求できる項目というのは、状況によりますが多岐にわたります。また、保険会社から提示された額が十分ではない場合も多いです。保険会社との交渉には交通事故についての専門的知識が必要となりますので、弁護士などの専門家にご相談されるのが重要です。何か起こってから、ということではなく、なるべく早くの段階で(もうこれ以上治療しても回復の見込みなしという、いわゆる症状固定の前の段階であっても)ご相談されるほうがいいかと思います。

 なぜかというと、「忙しくて病院に行く時間がない」「もう大幅な回復が見込めないので、頻繁に病院に行っても仕方ないかも」などの理由で、治療の必要があるのに通院の頻度が下がってしまうと、「治療を打ち切りましょう」と相手方保険会社に言われてしまうことがあるからです。弁護士が間に入ることによって、治療を継続させるための交渉もできます。後遺障害の申請が可能になるのは、症状固定となってからですが、その前に弁護士が入ることによって、被害者側に優位な条件を引き出せることも多いです。

 気になる弁護士料は、弁護士事務所にもよりますが、例えば私が所属する弁護士法人・響の場合、相談料も着手金も無料で、手続き終了時に費用が発生します。早く相談するとお金がかかるのではなく、最終的に事故処理が終わって相手の保険会社からもらった額によって弁護士費用が変わってきます。

 弁護士が入ることによって、保険会社から得られる額も多くなるので被害者の負担は増えないはずです。さらに、煩わしい保険会社とのやり取りもすべて弁護士を通して行われるので精神的負担も軽減されるでしょう。

 もらえる慰謝料や保険金は、弁護士が入ることで桁が変わってくることもあります。車を持っている方の場合、弁護士費用特約というのが自動車保険に付いている場合も多いので、その特約を使えば弁護士費用がかかりません。特約を利用しても、その後の保険料が上がることもありません。自ら車を運転中の事故でなくても、今回のような家族の交通事故なども対象になるケースも多いです。ご自身の保険会社に聞いて、どのような特約が入っているのかを聞くことも大切です。