大人向けの『グリム童話』で語彙を増やす

「著作リスト」より抜粋
「著作リスト」より抜粋

 小学2年生のころ、私は父の本棚探険に熱中して、題名にカタカナが交じっていると「やさしい本じゃないか」と見当をつけて手に取りました。岩波文庫の金田鬼一訳『グリム童話集』のおかげです。これが面白かった。

 金田さんは日本にグリム童話を紹介したドイツ文学者で、訳したグリム童話は一種の研究本。1つのお話でも、3つくらいのタイプが載っています。特に語彙が豊富で私は子どもなりにとても感心しました。お話によって、「お母さん」が「お母様」「母ちゃん」「おっかあ」「おっかさん」「おふくろ」といろいろ出てくる。

本は1人きりで、座敷や廊下の隅など邪魔の入らないところで、気が済むまで読んでいました。

 料理も「肉汁」の横には「ソップ」、「腸詰め」の横に「ソーセージ」とルビが振ってある。腸詰めなんて当時、食べたことも見たこともありません。おいしそうと想像しながら読みました。

 本は1人きりになって読むのが好きでした。座敷や廊下の隅など邪魔の入らないところで、気が済むまで読んでいました。

 記憶にある最初の絵本は、幼稚園でもらった『キンダーブック』です。不思議なのは親に読んでもらったおぼえがないこと。自分は最初から1人で読めたと思っています。両親はきちんと読んでくれたはずですが、まったくおぼえていません。いつも1人で自由に絵本の中に入り込んでいました。子どもの記憶は勝手なものです。

中川李枝子さんの名言がちりばめられた本著をもっと読みたい方はこちらから
『ママ、もっと自信をもって』(中川李枝子著、定価1200円+税)

『ぐりとぐら』の誕生秘話が、ここにある。
~天才児童文学作家・中川李枝子の歩んだ道、
 日本中のママを感涙させた子育て奮闘記~

戦前戦後を経験し、母として、保育士として、作家として活躍した80年を振り返った貴重な一冊!

◆第一部 子どもと本が教えてくれた
 ~私の保育士時代、子ども時代

 ◎保育園の子どもたちに教えてもらったこと
 ◎みんな、本が教えてくれた
 ◎『いやいやえん』『ぐりとぐら』が生まれるまで など
◆第二部 ママ、もっと自信をもって
 ~悩めるママと中川李枝子さんの子育てQ&A

 Q. イヤイヤ期の3歳の長男についいら立ってしまいます
 Q. 保育園と幼稚園、どちらがいいのでしょうか?
 Q. わが子の成長をついほかの子どもと比べてしまいます
 Q. 子どもと一緒に読むおすすめの絵本を教えてください など

◆豪華付録:中川李枝子著作リスト 96作品をカラーで紹介

●日経BP書店で購入する ●Amazonで購入する